黒 い 気 持 ち 。
持ちたくないのに沸き上がってきてしまう黒い気持ち…だれでもこういう気分になる時はあると思います。納得がいかない、腹が立つ、理不尽、不公平、イライラする、悔しい、妬ましい、恨めしい、惨め、後味が悪い、哀しい、淋しい、辛い、etc…。
そんな時どうしますか?
寝て忘れる、食べて忘れる、カラオケに行く、友だちに聞いてもらう、体を動かす、etc…。いろいろありますが私はまずノートに向かいます(内向的な性格ですので)
ノートに思いをぶつけてみる…その時は書いてちょっとスッキリする、でも次の日も次の日も…となるとだんだん自分でも書くことにうんざりしてくる。
ネガティブワードって書くにしろ人に話すにしろ、出すとその時はスッキリするけど、あんまり出し過ぎると今度はその言葉の一つ一つが呪いの言霊になって自分に降り掛かってくる、そんな気がするんですよね。
ストレス解消のつもりで実は呪いをかけている…愚痴や悪口にはそういうダークなパワーがあります。
さてしかし、そんな黒い気持ちを自分の中で封じ込めすぎていても、いつか爆発してしまったり、または抱え込んだ暗黒が毛穴から吹き出て不幸オーラを醸し出しやしないか?と心配になってしまいます。
まったくこういう黒い気持ちとの付き合い方って難しい!
今日はそんな時のためのノート術についてです。私も過去に何度かこういう黒いノートを書いてきまして、できるだけ呪いを我が身に残さず、頭(心)のなかをスッキリさせ、イライラやモヤモヤを吹き飛ばせる書き方、というのが、最近少しですがわかってきました。
そんなわけで今回は、黒い気持ちになった時に私が書く「暗黒ノート」の書き方についてご紹介します。
まずは、暗黒ノートに向かうときの心構え。←これ大切。
私のノートの書き方は、多少自分が書きやすくなるためのアレンジは加えていますが、基本は岡田斗司夫さんの提唱するスマートノートです。「暗黒ノート」は特にこのノート術にある「論理的に考える」ための基本フォーマットに則って書きます。
暗黒ノートといっても、別にそれ用の新しいノートを用意する必要はありません。いつものノートでOKです。「暗黒モード」で書くノート術、だと思って下さい。
ではまず、一番大切な「心構え」について。
以前、FREEexの方が主催するスマートノート塾に参加した時、参加者各自ノートを書く上での悩みや質問のコーナーがあったのですが、中で、
「仕事でストレスが溜まっていて、ノートに書くことが愚痴ばかりになってる。スッキリはするけど愚痴しか書けなくなってしまった。」
というお悩みを持つ方がいました。これちょっとわかる気がします。私もノートを書くずっと以前「日記」を書いていた時、愚痴(感情)の垂れ流し状態になったことがありました。
これはノートが「日記」だったからなんだと思います。
自分の感情をそのままダウンロードしてしまうのが「日記」、自分の感情を書きながら編集していくのが「ノート」
この心構えが日記とノートの大きな違いなんです。普段はそれでもいいけど、「黒い気持ち」の時はそのままダウンロードすると、黒い気持ちと自分との往復書簡的な「道」が出来てしまうんですよね。この道は作らない方がいいに越したことはないです。私けっこうコトダマ的なものを信じてるというのもありますが。
なので「暗黒ノート」を書くぞという日は、まず、ダウンロードするにしても後から再編集するぞ、というところまで意識してから取り掛かって欲しいのです。その意識があるかないかだけでノートから返ってくる「呪い」は少なくなりますから。
論理的思考フォーマットに則って書いていこう
論理的思考のためのフォーマットですが、これはスマートノートにある書き方に則ります。「ノートで考える」時の書き方は、私はマインドマップにすることが多いのですが、暗黒ノートの時はこのフォーマットの上にマインドマップを重ねていきます。
書く順番としてはまず、真ん中の「くろいきもち」のところに、黒い気持ちの原因となっている事柄について書きます。そして次に、なぜそう思うのか?ということをひとつひとつ掘り下げて「なぜ」のエリアに書き出していきます。
1.「なぜ」を考える
真ん中に書いた悩みや問題について、なぜそれが起きる(起きた)のかを考えます。「なぜ」が多ければ多いほど問題がクリアになっていくので、できるだけこの「なぜ」をたくさん掘り下げていきましょう。
2.「事例」を書き出す
その問題に関して「起きたこと」を書き出していきましょう。事実としてあった出来事、言われた言葉、言った言葉、など。そこからまた「なぜ」を加えていきます。
3.「過去」を考える
過去に同じようなことがなかったかを思い出します。あればその事例をまた書き出し、「なぜ」をさらに加えていきます。
問題に対する現在の「なぜ」、起きた事例についての「なぜ」、過去のことに対する「なぜ」、書き出せましたでしょうか?
ところで、スマートノートの基本は「1日見開き2ページ書く」です。ノートの大きさにもよりますが、ここでもういっぱいになってしまう場合もあるかと思います。だけど気分が乗っていれば次のページに書きたくなるかもしれません。
でも、暗黒ノートの場合は、できればそこで「今日は終わり」にした方がいいです(経験上)
1日に書きすぎると、だんだん思考を伴わない「感情のダウンロード」になりやすいので、やはり見開き2ページを目安に切り上げるのがちょうどいいかなと思います。
なので1日のうちに4番目の「どうする?」まで辿りつけなかったら、「どうする」のエリアには「次回!」と書くだけでもOKです。
1~3を踏まえて「どうする」を考える
さて、最後の
4.「どうする」を考える
です。
今までにたまった「なぜ」を、ひとつひとつ「ではどうする」に上げていきます。ちなみに前に書いたページに書き足すのではなく、「暗黒ノート」はその都度新しく書き起こして下さい。前のを完璧に写しとらなくてもいいです。必要だと思ったところだけ写せば(これもある意味編集です)。
前のページには付箋を貼って振り返りやすくしておけばそれでよいです。
「どうする」はこう書け、というのはありません。「なぜ」で出てきたことをこれからの行動にどう反映していくかを考えて書き出していって下さい。今すぐできることがそこに上げられたらあとは行動にうつせばいいのです。
ただ、このフォーマットに則って考えていった所ですべての問題に答えがすぐ出るわけではありません。
どうしても現状では出せない答えもあります。おそらく人の悩みのほとんどは「人間関係」からくるものだと思うのですが、そういうトラブルの場合大抵は「相手を」変えることは出来ません。
結局のところ、自分の考え方を変えるのが一番手っ取り早いんです。でも頭のなかでモヤモヤしたままだとどうしても感情に流されてしまって同じことを繰り返してしまう。
だけどこうしてノートに書き出して、過去や現状を冷静に振り返って、なぜを掘り下げていくと、「ここ」は変えられる、という部分が見つかりだすし、それが見つからなくても
「とりあえずいったん凍結」
ができるようになるのです。
黒い気持ち=モヤモヤしたものをそのままなにかでくるんで封印してしまうと、どこに何を仕舞ったかわからなくなって、得体が知れないからさらに掘り出せなくなります。
だけど、きちんと仕分けしたものを箱に入れて日付を書いてラベルを貼って凍結させておくのは違います。
勇気を出して書き出して(勇気のいることです)、整理して、ラベルを貼って凍らせておくことの一番の恩賞は、いつのまにか「時間」が肩代わりしてくれる場合があることです。
「暗黒ノート」を書くことのゴールはきっとここかもしれません。
暗黒ノートとは「凍結」させるためのノート術
私の実例&書いたノートを紹介したいところですが、なにせ内容が「暗黒」なので、各方面への影響?を考えるとネットで具体的に上げるのはやはりちょっとムズカシイものがあります。
なのでものすごくぼかしてではありますが、一番直近に書いた暗黒ノートについて、それまでの経緯を含めざっくりと紹介します。
- ある人との考え方の違いが決定的になった→面倒なので距離を置くことにした(1回めの凍結)
- その人のある行動に不快な気持ちを持った→なぜ自分はそう思うのかを徹底的に考える(思いがけず解凍されたのでもう一度整理して2回めの凍結)
- 別の人との会話から、距離を置かないことで面倒を回避するという方法を知る→今の自分には無理だが、それがオトナの処世術であり、優しさであるというのを知った。(3回めの凍結中)
と、こんな感じでこのテーマ?では数回書きました。現在3回めの凍結中です。
はっきりいって、今でも問題そのものは解決してないし、自分の感情もそんなに成長していません。ただ凍結中はそのことで悩まなくなっていること、なにかあって解凍されるごとにひとつまた何かを得て再凍結させることができていること。この自覚は私の心をかなり軽くしてくれています。
黒い気持ちはモヤモヤしたままで放り投げず、心のなかで仕分けしてラベル貼ってひとまず凍結させておけば、時の氏神さまというヤツ?が肩代わりしてくれる…のかもしれません。
それに期待して、というわけではありませんが、はじめは愚痴で終わりそうだった暗黒ノートが、スマートノートの論理的思考フォーマットを使うことで、思いがけずそれが「発展的凍結」への道筋になることに気がついたのでした。
あとはやはり、悩みの「見える化」というか…書き出していくと大きく思ってたはずの問題が実は思った程ではなかった、ということってあると思います。凍結する程でもない雑音的な問題はこれだけでもかなり解消できると思います。
暗黒ノートについてまとめ
さて、そんなわけで黒い気持ちが湧きでた時の「暗黒ノート」について、もう一度まとめてみます。
- 心を「暗黒ノートをこれから書きます」モードにしてからノートに向かう。
- 感情のダウンロードのままに吐き出した呪詛の言葉は、あとで呪いとなって自分に返ってくる場合がある。なので必ず基本のフォーマットに従って論理的に書いていく。
- 「なぜ」をできるだけたくさん書き出していく。そこから「事例」「過去」を書き出し、さらに「なぜ」を掘り下げていく。
- ノートは1日見開き2ページまで。それ以上になりそうだったら切り上げて後日書くことにする。
- 「どうする」を書いていく。出来る行動を見える化させる。出来ないこと、自分の力だけでは解決不可能なことは、ここで「凍結」させる。
↑ここまで書きだせたのならば、すぐに解決しないものは大抵自然と「凍結」モードになります↑
あとは時間におまかせしちゃいましょう。
すべての人に向くかどうかはわかりませんが、私はノートを書き始めるようになってから、このやり方でずいぶん自分が楽になることが多くなりました。
要は「問題の先送り」なのかもしれないけど、「とりあえず後回し」的なものではなく、ちゃんとひと手間かけて整理して寝かしてるので、寝かせてる間はモヤモヤを引きずらなくて済むし、もしかしたら消えているかもしれないし、美味しく発酵しているかもしれないし・・・??
そんなわけで、今回はちょっとダークな「暗黒ノート」のススメ…でした。興味がわいたらぜひ試してみてくださいマセ。
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