先日映画のほうを観たのがきっかけで、マンガのほうも再読してしまいました。
ハチミツとクローバー 1~9巻 羽海野チカ クイーンズコミックス
まだ完結していないので、感想は今のところでしかないのですが、話の展開の面白さとかよりも、ひとりひとりのリアルさとかそんなのがとても共感する所が多いな~ってつくづく思いました。
このマンガの登場人物たちは、みんな『片想い』をしているのですが、どの子もみんな恋ばかりしてるわけではなく、仕事をしたり、作品に取り掛かったりして、そっちを柱として生きてる。
あとね、このアオズッパイワカモノたちの周りにいる大人がね、ヘンにステレオタイプなかっこいい大人じゃなくて、このワカモノたちの延長線上にいるオトナとして描かれているのがイイ!!
そんななか今日は登場人物の一人、『山田さん』のお話。
山田さんは真山君に片想いであります。なぜなら真山君にはリカさんという好きな人がいて…(まあこの相手は真山ごとき?には相当ムリメな女性ではあるのですが)、山田さんは真山の無謀な?片想いが苛立ちでもあり心配でもあり…という状態であります。
そんななか、真山君は山田さんに言います。
『お前がいくら俺にハラを立てても俺は多分変わんないよ。 お前が他の男探したほうがぜんぜん早いよ。 もうオレを見んのやめろ。』
読み返して気がついたのですが、山田さんってば第1巻からもう振られていたのですね・・・(つД`)・・・そして9巻の現在でも真山を想っているわけです。(ちょっと変化しそうだけど)
ただしこの2人は共通の友達を持つ『仲間』の中にいるので、そうなったからといってもお互いの距離は離れる事はないのです。山田さんは恋心を封印しながら友達として仲間の輪の中にいますが、時折どうかした拍子に『好き』という感情がでてしまい、あたふたしたり、動転して回し蹴りをしてしまったりします。
そして真山も来るという花火大会に浴衣を着ていって、『山田、ユカタ似合うな』といわれて涙を流してしまったりするのです。
真山君は山田さんの姿を見て、リカさんから見たオレってこんななんだろうなと思い、山田さんの気持ちにはこたえられないけど、山田さんをこれ以上傷つけたくない、山田さんに幸せになってもらいたい、と思いつつも、自分も好きなリカさんの為に、リカさんを支えられるくらいの男になりたいと無様にガンバッテルわけなのです(映画ではただのストーカーになってますが^^;)
山田さんという子は、非常に可愛くスタイルもよく、なおかつ『鉄人』と呼ばれるほどの蹴力?を持ち、陶芸の才能も持つ酒屋さんのお嬢さんなんですが、男にまったく免疫がなくケータイも持っていないという、いまどき珍しいある意味深窓のオヒメサマなんですよね。
山田さんは振られても真山のことをあきらめる事ができなくて、そのけなげさ、いじらしさ、痛さはなんかもう、とても切ないです。
そんななかでも真山君は社会に出てもまれながら、あきらめないで(その執着力はスゴイ)リカさんを追い、次々と彼女の牙城?を切り崩して行き、男として成長していきます。
山田さんは気づいていくのです。真山がどんどん遠くなっていってる事に。うーん、切ないよ山田さん・・・でもキミももう大人になろう!!
周りの『オトナ』である花本先生は言います。
『【努力する】か【諦める】か、どっちかしかないよ。人間に選べる道なんて、いつだってたいていこの2つしかないんだよ』
野宮さん(真山の会社の先輩・山田さんにちょっと関心あり)は言います。
『そうやっていつまで真山をためすの??まあわかんなくはないけどね。 バレちゃってる片想いって不毛だけどラクだもんね。罪悪感で相手は優しいし、もうこれ以上ヒドイ事はおきないし、新しく傷つく事もない。』
花本先生は真山に言います。
『山田がまだお前のコト好きなんかどーかもホントはあやしいもんだ。ヒヨコのあれとおんなじでさ、ただ一番最初に見たお前のコト、親と勘違いしたままくっついてまわってるだけのよーな気がするよ。いつまでもさ・・・』
この山田さんの真山への思いはぶっちゃけこの三つのセリフに凝縮されているような・・・オトナから見ると幼い片想いなんだけど、山田さんにとっては、
『他人から見たらどんなに情けなくっても、みっともなくても、彼を想うこの気持ちたったひとつが、冷たくって明るい私の宝物だった』
『救われたくなんてなかった。すっと真山を想って 泣いていたかった』
うん・・・切ない。。。
真山君も、このマンガに出てくるもうひとりの主人公の竹本君も、学生から社会人になろうとする中で、それぞれの片想いを抱えたまま男として大人になりつつあるんだけど、女である山田さんはどうやってこの片想いからオトナに成長していくんだろう?
その辺の今後が楽しみな所であります。それにしても真山の山田さんに対する距離の取り方のうまさというか、同情と、ギリギリの優しさの示し方と、それでも彼女に対して引く線の明確さ、その辺の描写の細かさというか、リアルさというか、作者ほんとに真山好きなんだな?って思ったりします(*^_^*)
余談ですが、真山のモデルはスガシカオらしいです♪
花本先生のセリフ、
『【努力する】か【諦める】か、どっちかしかないよ。人間に選べる道なんて、いつだってたいていこの2つしかないんだよ』
そのあと先生はモノローグで、
―けれど僕はこの時ひとつ嘘をついた。3つあったんだ 選択肢はほんとうは ―でも2つしかないと信じていた方が道はひらけるから 3つめの答えを僕は口にしない。
て言ってるんですよね。
【努力する】 【諦める】 そして3つめの答えってなんでしょうね。いろいろ想像することはあっても私には『ズバリ!これでしょう』ていう言葉が思い浮かびません。
ただ山田さんの出す答えは3つ目じゃないといいな~っていうのと、花本先生の今の姿はもしかして3つ目を選んだ姿なのかな~っていう気持ちであります。
そんなわけでマンガ『ハチミツとクローバー』、続きが楽しみであります。