「週末どっか行く??」
「じゃあ映画でも見に行こうか」
というノリで『犬神家の一族』を観にいってきました。
昭和51年に製作された映画のリメイクで、同じ監督、同じ主演俳優で撮った、という知識しかなかったのですが、見終わってここまで「取り直し」だったとは思いませんでした。
前作はさすがにリアルタイムでは観ていなく(^_^;)、後になってからテレビで放映されたのを観た記憶があるので、あ、そうそう、こんなシーンがあった!っていう感じで観ることができました。
ストーリーや犯人は知っていたので、謎解きの楽しみはなかったのですが、原作の昭和20年代の日本の風景や風俗、人間の姿などが再現されながらさらに、昭和50年代に撮った時の雰囲気までも再現されるという、二重の再現?が織られていたように感じました。
前作での強烈な記憶は、とにかく高峰三枝子の醸し出す雰囲気が、子供心におっかなくって恐ろしかったのと、この映像→。。。あとは例の佐清〈スケキヨ〉マスクとその下の素顔でしたが、これは映画の記憶というよりも、その後あちこちでパロディにされたネタとしての記憶の方が多いのかもしれない(^_^;)
で、今回の犬神家、ワタシ的には「昔みた映画をまたみた」感じでおもしろかっです。ただあまりにも「作り直し」すぎて、大金かけて「新しくする」意味は?なんて思っちゃったりもしましたが、まあそれは置いといて。
大きく違うのはキャスト。なのでやっぱりキャストに目が行ってしまいます。
主役の金田一耕助さんは前作と同じ、石坂浩二+30才!!
現在65才にしては・・・若い!!これはすごいと思った。でも、でも、やっぱり老けてる・・・まぁ仕方ないけどね。あちこちのレビューを拝見すると、やはり市川監督&石坂金田一に対する思い入れの多い方が多いようでした。やっぱりこれがベストコンビなのかな?
犬神三姉妹が豪華でした。
長女松子 富司純子
前作で誰よりも強烈&恐い&インパクトだったのがこの役だったので、富司さんだとなんとなくイメージがおしとやかすぎるんじゃないかな??って思ったのですが、いやいや、線が細いながらもなかなかの迫力でした。高峰三枝子ほどの恐さはないけど、ピリピリとした哀しい感じがでててさすがでした。
次女竹子 松坂慶子
個人的にはこの人がツボだった。前作の印象(記憶)が全くない役だったのですが。かなり、お、お太りになられたご様子・・・ながら・・・美しいと思った。ファットビューティーとでもいうのでしょうか?弁天系?天女系?なんかこうメデタイ感じの美しさ?役どころはヒステリーで不幸でメデタイところは全くないおばさんなのですが・・・。その役のイメージにぴったり当てはまりながらも本人の魅力が輝く、みたいな感じ。
三女梅子 萬田久子
この人も良かった。これも前作では記憶にない役なんですが。富司純子、松坂慶子とはちがって、濃い姉たちを持ってしまった三女、実際の年齢で現れるだけじゃない末子の感じが出てたと思う。この個性ある三人がちゃんと姉妹に見えたもん。うまいなぁ?。この人も役にはまりながらも業が深そうな(失礼?)萬田久子らしさが出てて良かったですね。
珠世 松嶋菜々子
美しく気品があって清楚なヒロイン。前作では島田陽子だったらしいです・・・記憶あいまい(^_^;)ただこの珠世さんだけが可憐で毒々しくない人だった印象があります。抑えた演技の松嶋菜々子はとても合ってたと思います・・・が・・・背が、、高い、、圧倒的に・・・。
この珠世さんのしゃべる「女言葉」がキレイだったなぁ。昭和30年代の映画みたいに。
前に雑誌で美輪明宏が、
「美しい女言葉を学びなさい。昭和30年代の日本映画をたくさんみなさい」って言ってたのを思い出しました。維新前までは「女言葉」っていうのはなかったそうなんです。明治に入って文明開化華やかな頃、鹿鳴館などで西洋のレディに対抗するべく維新の志士たちの横に添ったのが芸者上がりの淑女だったけど、彼女達の言葉が「女言葉」として浸透してったそうな。元は男にむかって作られた言葉だったんですね。
だから男に対して媚がありながらも、美しく女らしく気品ある言葉として育っていって、昭和の30年代くらいまで生きつづけて来てた言葉だそうです。
たとえば恋人に、「ねぇ、アタシのこと好きぃ?」って聞くよりも「わたくしのこと、好きっておっしゃいなさいな」と言ったほうがずっとチャーミングだと・・・(なかなか言えないと思うけど^^;)
昔の映画で石原裕次郎の「陽のあたる坂道」というのを観たことがあるのですが、出てくる女優の言葉の美しさはみごとでしたね?。当時は「こんな言葉使ってる人いないよ」って思ってたけどね(^_^;)
と、話が脱線しましたが・・・松嶋菜々子はそんな言葉を綺麗にしゃべって違和感のない女優さんなんだなぁって改めて思いました♪・・・背はやはりでかいけど(ノ∀`)
小夜子 奥菜恵
かつての美少女もこういう役をやるようになったのね、という感じ。いわば負け役、壊れ役。。。和久井映見が戻ってきた時も同じような感想を持ったんだけど、彼女はこのまま頑張れば薬師丸ひろ子路線に乗れそう??・・・さて奥菜恵ちゃんはどうでしょうか?
はる 深田恭子
かわいかったですよ。田舎の素朴な旅館の女中さんなんですが。でもね、眉毛があまりにも今風なの。なのでもんぺはいててもコスプレにしか見えない・・・だれか注意しなかったのだろうか・・・本人が嫌がったのだろうか・・・。そんなのが見えちゃった気がして興ざめ・・・かわいかっただけに惜しい。かわいくなくていいんだよ?しぐさや声でも充分かわいいんだから??。垢抜けてちゃだめでしょ???。
佐清〈スケキヨ〉 尾上菊之介
この人が微妙・・・歌舞伎役者さんらしいのですが。まわりの女優さんたちの濃さにちょっと埋もれてしまった?珠世に愛されるだけの何かが正直伝わりませんでした。
ゼツが持ってたので、原作をあとで読んだのですが、犬神家の家宝でありこの話のキーワードでもある『斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)』は梨園・尾上家の家宝でもあるそうなんですね。その繋がり?とも思ったら、この方、富司純子さんの実の息子さんでもあったのですね。
・・・と、まぁえらそうに感想を述べてみましたo(_ _*)o
新鮮さはさすがにないけど、でもやっぱりおもしろかったですよ?名作だなぁって思いました。昔のをまた観て比べたくなってきますね。
『配役比較』というHPを見つけました。おもしろかったのでよかったら見に行ってみてください♪
←おまけの松竹梅三姉妹がトラウマになりそうですw(これは古いほうの三姉妹ですね)今回の三姉妹もキョウレツでしたが(´゚д゚`)