『ゲド戦記』観てきました。言われてるほどそんなにひどくはないと思いました、まあ、ジブリということで期待も大きいから…でもやはし消化不良な感じだったかなぁ。
で、ちょっと気になったのが、
『まことの名前』について。
『千と千尋の神隠し』も『ほんとうの名前』にまつわる話で、ハクも千尋もほんとうの名前を湯バーバに取られてしまい、支配されてしまいました。
昔の中国や日本には『通り名』と『忌み名』というのがあって、ほんとうの名前は『忌み名』といって、親や結婚相手以外には知られてはいけなかったそうです。
今の私たちの感覚だと、名前って言うのはアイデンティティでもあるし、親から貰う最初の贈り物でもあるし、けっして『忌む』ものではない、という気がしてしまうのですが・・・。
ちょっと興味が出てネットであちこち調べたら、こんな例えがありました。
今の時代で置き換えると、通り名とはネットにおける『ユーザー名』や『ハンドルネーム』で、忌み名というのは『パスワード』だと。『パスワード』を他人に知られると、個人情報が流出して大変なことになってしまう、そういう感覚であると。
これ、わかりやすいですね(^^)
だから万葉の昔の恋人同士は、お互いのほんとうの名前を相手に教える事は、相手に自分のすべてを預けるという、誓いの証にもなっていたそうです。
玉かぎる 石垣淵の 陰りには 伏して死ぬとも 汝が名は告らじ
これは万葉集にある歌で、もし私が死んでも、あなたの名前は誰にも言わないよ、という意味です。万葉集にはこういう、名前を教えてくれ、とか、名前を教えてあげる、とか、つい名前を言ってしまった、とか、名前にまつわるそんな恋の歌が他にもたくさんあるようです。
ゲド戦記も、
森羅万象には「真(まこと)の名前」が存在し、それを知る者はそれを従わせることができる。人は己の真の名をみだりに知られぬように、通り名で呼び合う。
という世界観の中でのお話でした。(原作は読んでいないので、映画の中だけでの知識です)ゲド戦記はアメリカの作家さんの原作なので、この『名前』にまつわる因習というのは西洋文明圏にもあるんですね。
『まことの名前』にまつわるいろんな話、調べていくとちょっと面白そうだなって思いました。
恋人に、誰にも教えてはいけない自分のほんとうの名前を告げる・・・教えあう事で誓いをたてる・・・なんかロマンチックじゃありませんか:*:・( ̄∀ ̄)・:*: