評価経済社会時代の個を考える~感想~ | Rucca*Lusikka

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先日、OpenCUさん主催のこちらのトークセッションのイベントを聴きに行って来ました。

 

東浩紀×家入一真×イケダハヤト対談 『評価経済時代の個を考える』

 

「評価経済社会」に、個人はどう対応していけばよいのか!?

現在日本を代表する思想家・評論家、東浩紀氏
話題のWebサービスを仕掛ける起業家、家入一真氏
86世代を代表するブロガー、イケダハヤト氏
の対談がOpenCUにて実現!

ソーシャルメディアが浸透し、個人のアクティビティが日々ネットで共有される事で個人の「メディア化」はますます進んでいます。

2011年2月に岡田 斗司夫氏が「評価経済社会」を出版し現在も高い話題となっています。経済活動で得られる金銭が生みだす力よりも人々との関係性である「評価」の方が重要になりつつある時代に変わりつつある「評価経済社会」という考え方は多くの人にとって違和感無く受け入れられていると考えられます。

今回のOpenCUでは、『一般意志2.0』をはじめとした多数の著書、大学教授、哲学者など幅広い顔をもちソーシャルメディア、マスメディアでも活躍をする”あずまん”こと「東浩紀氏」、『キャンプファイヤー』を始め、次々に話題のWebサービスを仕掛ける“連続起業家”の「家入一真氏」、86世代を代表するブロガーでありWeb業界を中心に新たな価値観の提案で論争を生みつつ人々を惹き付ける「イケダハヤト氏」という豪華な論客3名をお招きし、トークセッションを開催します。

OpenCUサイトより本文引用

 

元々[評価経済社会]の話には興味があり、関連本は何冊か読んでいるし、評価経済社会という言葉を使う人の発信などはチェックしている方なのですが、この、

 

「評価経済社会」という考え方は多くの人にとって違和感無く受け入れられていると考えられます。

 

についてはどうなんだろうな??と考えることが最近多いです。

最近ネット・SNSまわりの雰囲気がちょっと前とは変わってきているなと思うことが多々あって、これが[過渡期]の始まりなのかな?今後どう動いていくのかな?ということで、今回パネラーの3人の方の話を聞いてみたいなと思ったのでした。

パネラーは東浩紀(@hazuma)さん、家入一真(@hbkr)さん、イケダハヤト(@IHayato)さん。進行役はロフトワークの諏訪光洋(@suwaws)さんでした。

 

※「評価経済社会」についてはこちらの本を読んでいただけると一番わかり易いです。

 

※当ブログではこちらに、評価経済社会についてちょっと書いています(2010年の記事ですが)→お金のためじゃない価値観。

 

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さて、まずトークは「世界は本当に評価経済に移行しつつあるのか?」という問いから始まりました。

 

東さん:個人が直接一般大衆から評価される、成功に結びつく機会は増えてる。しかし競争は激しくなる(希少だから勝てる、”みんな”は勝てない)お金と評価が今後どう結びついていくかはまだ不透明な部分がある。

イケダさん:社会保障や公共の破壊のかわりに「評価」がこれから個人のセーフティネットになっていく。

家入さん:評価経済社会とは今までやってきたことを後押ししてくれる概念・理論だと思った。新しいお金を集める仕組みとしての=個の切り売り→もっと増えてもいいのではないか?

 

※トークの内容は、3人の方の仰ったことを正確に書きおこしをしているわけではなく、当日私が取っていたノートからのものです。私の受け止め間違い・曲解・私見も含まれてることをご了承下さい。

 

当日のUsetreamはこちらです。

東浩紀×家入一真×イケダハヤト対談 『評価経済時代の個を考える』 – open_cu

Twitterのまとめはこちら

東浩紀×家入一真×イケダハヤト対談 『評価経済時代の個を考える』 #opencu  

 

話の内容は東さんがやはりオトナとしてまとめてくれていて(時々脱線)、先のstudygiftの大炎上事件でちょっと元気の無い(ようにも見えた)家入さんをうまくいじっていました。イケダさんは飄々とマイペースな感じ。

興味深かったのは、やはり最近のstudygiftの炎上について。

なぜあんなに批判されたのか、

ネット上で普通の一般人が、その発言の面白さなどで注目を集め「有名」になる。これは今までにはなかったことで、そこから交友関係が広がったり、仕事に結びついたりしていく。それが評価経済社会。

その「評価」がたまった人は、お金をスキップできるようになる。人脈をベースに物々交換(や、スキル交換)で生きていけるようになる。

studygiftでは、その「評価」が溜まっていた女子学生が、その知名度で学費を集めようとしてたくさんの批判を浴びることになってしまった。

 

詳しくはこちらに→studygiftの今後について

 

東さんがここで言ってたのは、

「個人」を相手にすることと「社会」を相手にすることを混同してはいけない、評価の換金は小さいコミュニティなら問題ないが、大きくなればなるほど炎上リスクは高まる。世の中には「若い女」というだけで嫉妬する層がある。そういう層もTwitterをするようになったのが今日である。嫉妬というのは感情だから、リテラシーが今後上がればなくなっていくというものではない。

↑これは私が受けとめた大意なので、実際の発言とは少し異なってるかもしれません。

もちろん嫉妬だけがstudygiftの炎上の原因ではなく、いわゆる「ツッコミどころ」が多すぎたということもありましたが。

東さんいわく、一人から200万円もらうことと、200人からもらうこととの違いは、「間違えた」ときに前者は一人に心から謝罪し説明すれば済むけれど、後者はそれを200人にしなくてはいけないということ。2000人なら、2万人なら・・・?

評価というものはパブリックから得られるけれど、評価の換金は、一人ひとりの顔が見れて話が出来る人数内でのクローズドな場所から行ったほうがリスクは減らせるということでしょうか。

 

私がこの事件で感じたのは、評価の換金にはかなり厳しい目が光るということ。それは当事者(受ける人と支援する人)内ではなく、それを見た人たちからの。

嫉妬するほうが悪い、お前には直接関係ないだろう、は、もちろんその通りなんだけど、世の「くだらない嫉妬」というものを甘く見積もることは大変危険だとわかりました。女子学生へのすごい罵詈雑言バッシングを見た人が「子供を一人救うつもりで殺しかねない」と心配しツイートしていましたが、私も同じように思いました。

 

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さて、この「評価の換金」について、イケダハヤトさんはまたちょっと違う考え方を持っていました。

イケダさんは今無償でNPOの支援をしている。その行動は将来自分のセーフティネットになるであろうと。評価の換金は先払いと後払いがある。カリスマを支援するのは先払いですが(投げ銭的?)、これは過剰な贈与が集まり炎上リスクがある。後払いとは、先に誰かを助けておいて、あとで自分が困ったときに助けてもらう(情は人のためだけにあらず的?)こと。

また、イケダさんは自らのマネタイズを実験なさっていて、例えばブログの広告で今は15万円ほどの収入が毎月ある。それは自分にとってのベーシックインカムとなり「お金のために働く」仕事から自由になれる、と。

ブログで月15万稼ぐにはそれ相応のアクセスが必要だし、アクセスを得るためには定期的なポストとコンテンツの面白さが必須なので、すぐ誰にでもできることではないけれど、これも積み上げてきた「評価」を資本にしたものであって、評価経済社会的な生き方のモデルだと思います。

(これは雑談でだけど、家入さん曰く、イケダさんは家では野菜しか食べないらしい。理由を聞いたら「洗剤でお皿を洗わなくていいから」…なんという合理的。生活コストを下げる実験を生活で実践されているそうです。私も同じような理由で家では天ぷらを揚げないのですが、まだまだですね(笑))

 

この「お礼としていただく評価」について、東さんは、贈与は交換だけではない、親からの恩が親にそのまま返されないように「恩」は次に送るものでもある、と話しました。東さんは「コミットメントのない自由な人間関係では人は育てられない」「人を育てるためにはお金がかかる、お金は稼がなくてはいけない」

これは20代のイケダさんと40代の東さんとの、社会的な責任感の違いもあるかなと思いました。

20代のイケダさんは、ます自分と家族が養えるお金を稼ぎ、あとは生活コストを抑えれば、お金のためだけじゃない仕事に集中できる。

40代の東さんは、世の中を変えるには、次世代を育てるためには、お金は稼がなくてはいけないと考える。

この辺のやり取りのことを、Twitter上で、

「東さんは大乗仏教(たくさんのひとを救おうとする教え)、イケダさんは小乗仏教(悟りを開こうとする教え)」と言ってた方がいて、わたしもすごい納得。うまい例えだなぁと思いました。

 

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また、この評価経済社会において、たとえば自分の子供にいつからTwitterさせる(許す?)べきか、という問題について。

SNSによってすべての自分の行動や発言がログに残る時代。子供が将来親の名前で親の過去を検索することもあるし、親の昔の発言が子供へのいじめの原因になる危険もある。

また、親のフォロワーが子供のフォロワーに「世襲」されることも→子供にとっての「不労所得」になる。2世タレントや2世議員の特権がSNS世界でも生まれる。

これはパネラー皆さんSNSでの有名人であり、お子様もいらっしゃることからの問題提起かなと思いました。FacebookやTwitterで、子供のこと(行動や写真など)を絶対に出さない人と、あまり気にせず出す人といます。親のSNS行動が次世代にどう影響するのかは、今はまだ未知数ですね。

 

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最後に会場質問がいくつかあって、その中から「評価の貯金」は可能かどうか?というものがありました。

家入さん「年をとるほどに僕を怒る人が増えていく、比例して応援してくれる人も増えていく。しかしTwitter開けるとメンションに「死ね」がズラリと並んでいることも…これは評価がたまるという点ではマイナスなのかプラスなのか。」

イケダさん「組織からの評価は離れることはあっても、人からの評価は離れない。評価というのは一発屋的な部分もある。」

東さん「貯金できるようだったらそれは人が尊いと思うような価値ではない。価値の換金はできるかもしれないという”夢”」

 

あ、家入さんの発言に対して東さんは「死ね」はブロックでおk、と言ってました(笑)

 

あと「評価経済社会での成功する秘訣は?」という質問に対しては、

東さん「他人にそういう質問をしないこと」・・・バッサリ(笑)

「自己啓発本を読んでるうちはダメ。」「視野は広くてもしょうがない」「救われるのは簡単。成功するのはシビア」

イケダさん「求心力の源泉が大事」=その人の問題意識=伝えることの難しさ。メリットは組織の枠を超えてつながりやすくなれること。

家入さん「studygiftではいっぱい怒られた」・・・このへんから東さんのカウンセリング?入る。

 

※発言内容は仰ってたことそのままではありません。すみません、このあたりノート読み返しても自分でもちょっとわかりにくい・・・。

 

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と、ちょっと追い切れない部分もありましたが、まとめとしてはこんな感じです。

感想としては、評価経済社会といっても、感じ方や実践方法は3人とも違っていて、でも3人なりの個性からの実践で興味深いです。20代で我が道を行く系のイケダさん、40代でやはり「オトナ」感のある東さん、大きく叩かれたばかりの家入さんが今語る評価経済について、というのも、家入さんにしか語れない内容だったと思います。

 

評価経済社会というのは名前がついたばかりで、実践方法も受け取り方もまだ混沌としている。大きな夢や可能性がある世の中のようでいて、実はさらに過酷な別の競争社会の始まりかもしれない。

東さんが仰っていた、社会を相手にではなく、個人を相手にする、ということがポイントであり、そこを間違えてはいけないというのにはとても共感。大きな人数を相手にすることには向いてないのかもしれない。

 

評価経済社会が「ある」のか「無い」のか、「来てる」のか「来ない」のか。

 

SNSがなかったら、この3人の方のことはおそらく知らなかったであろうし、この3人の方を私が「知ってる」ということがすでに評価経済社会であるということでしょう。でも多分、SNSを全くしない人(例えば私の母)にとってはそんなものは「無い」し「来ない」。

でも私よりはるかに、母の世界のほうが、身近な人間関係でのお金をスキップした「贈与の交換」で回っている部分が大きいです・・・母のまわりを評価経済社会的というのなら、本当にセーフティネットとなる「評価」とは、顔の見える付き合いの範囲の中での、長い時間をかけた人間関係の中での「恩送り」の積み重ね、でしょう。一発屋では出来ません。

 

評価経済社会って、実は新しいのか古いのか??

 

シェアハウスにしても、贈与の関係にしても、レンタル、リサイクル、ご近所コミュニティ、小商い、みんな「すでに過去にあったもの」ですよね。それが全部お金で買うものになってしまった。

SNSによって過去にあったものをもう一度構築していく、ということなのでしょう。

 

SNSの使い方は、これからは「嫉妬を浴びない」ことが重要になってくるのかも。そう思うとなんとも窮屈な部分もありますが。嫉妬を甘く見てはいけない。

 

 

これは対談でも話題に出ていた、MGさんのツイート。MGさんはMG(x)という100人のクローズドなコミュニティサロンを作っていて、会員は月1000円の会費を払ってるそうです。

東さんがいうには、MGさんは1万人のフォロワーがいるけど会員は100名にしている。100名だったら顔のわかるコミュニケーションができるし、月10万円の収入なら嫉妬による炎上リスクは少ないと。「評価」を資本にしたマネタイズとしてはこの規模までがやはり最適であろうと。

 

評価経済社会で評価を資本にした「小商い」をするのは、顔が見える相手との関係性が大事ということ。むしろ「小商い」以上のことをするのはリスクが大きいのかもしれません。

 

SNSの使い方でこれから必須スキルになっていくのは、「嫉妬を浴びない」「騙されない」「乗せられない」を含む「防御力をつける」ということでしょうか。これは前に岡田斗司夫さんの「いい人戦略」でも出たテーマですが。

 

今回のトークセッションは、リアルに評価経済社会を生きている&実践してる3人の方のとてもリアルなお話が聞けたと思います。「今」はまた刻々と変化の最中です。「今」聴けてとても良かったです。

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