週末はとても久しぶりに、舞台劇を観にいってきました。
天王洲の銀河劇場という所で公演されている、
です。
主演は鹿賀丈史さん、余貴美子さん。
原作はもちろん、私の大好きな作家の宮本輝先生の大名作であります!!大好きすぎて数年前には、錦繍の頃の蔵王に旅行に行って、「蔵王のダリア園からドッコ沼へ登るゴンドラリフトに」乗っちゃったくらいです(*^_^*)
映画やドラマ化などのお話は過去にもたくさんあったようですが、往復書簡という形式でつづられたこの小説を映像化するのには難しい、と、今まで実現しなかったそうです。
「錦繍」は、輝先生の小説の中でも私の中でTOP5に入る思い入れの深い作品ですが、こうして舞台化が決まった時、不思議と不安感はありませんでした。むしろこの日を楽しみに待っていました♪
そして期待通りの素晴らしい劇でした!!
イギリス人であるジョン・ケアード氏の脚本は原作にほとんど忠実で、美しい日本語の調べはそのままで、その演出は、10人の役者がそれぞれの役を演じながらも、主役の亜紀と靖明のセリフを語る、という、斬新な手法で、朗読のようになりがち?とも思われた部分が全然ありませんでした。
役者さんの力もすごかったです。長い長いセリフがテンポ良く、聞きやすく、音楽のようになめらかに耳に届くのです。さすがだなぁ・・・一流の俳優の方の、基礎の素晴らしさというのが本当にわかりました。鹿賀丈史さんの声ってなんて美しいんだろう?。聞惚れました。
また余さんの亜紀がステキだった。小説の亜紀さんそのものだった。
愛し合いながらも、夫が無理心中に巻き込まれてしまった事件によって別れた夫婦。その10年後、紅葉の山形の蔵王のゴンドラリフトの中で、2人は偶然に乗り合わせる。
その出来事からはじまった2人の往復書簡。事件の真相、2人がそれぞれの10年を過ごしてきた道程、過去を見つめなおし、生命の不思議さ、人間の業というものを綴りあい、そして未来・・・お互いの幸せを心から祈りあう最後の手紙。。。
ああもう、書いててまた涙がっ!!(つД`)
小説の行間に秘められていたものが、役者さんの演技によって気がつかされたり、新たな発見があったり、と、新しい形でまた再読できた。そんな気がしました。
原作が名作であるほど、その映像化って難しいんだと思うのですよ。あまりにも新しい解釈や設定を取り入れられちゃうと、それはまるで別のものになってしまうし(それが悪いばかりとはいえませんが)、忠実すぎるとそれはそれで面白味がないものになってしまったり。
でも、この舞台は原作を100%生かしながら、新しい世界を作っていました。本当に素晴らしかったです。全幕に流れる藤原道山さんの尺八も素晴らしかった。原作、脚本、演出、音楽、そして演技、どれもみんなこれぞプロ!といった質の高さを感じずに入られなかったです。
3時間の長いお芝居でしたが、最後は終わってしまうのが勿体無くて悲しくなる位でした(^_^;)。舞台という、「この世のものではない空間」を生み出す緊張感というのか…その真剣な「気」というものにどっぷり浸かりました。おかげで?家にかえってどっと疲れが出て眠りこけてしまったくらい(ノ∀`)
大満足の素晴らしい舞台でした。千秋楽までにできればもう一度観にいきたいなぁ(*^_^*)
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錦繍 (新潮文庫)
ううむ、大好きな作品なので、私ごときには感想なんてとても書けるものではありません。ご興味ができた方、何かいい小説が読みたいと思っている方、どうぞお手に取ってみてくださいね♪