【読書】すーちゃん~女の友情について思うこと | Rucca*Lusikka

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益田ミリさんの「すーちゃん」シリーズの3冊を、一気に再読&新読しました。
3冊とも、すーちゃんと女友だちの話が交互に繰り返されて、それぞれ、彼氏や好きな人への悩み、三十半ばという年齢の悩み、職場の人間関係の悩みの中から「その時」の共感と友情を交わしていきます。

※ここから下はネタバレなので未読の方はご注意下さい※

すーちゃんはカフェで働く34歳独身女子です。

職場は社員同士の同僚とバイトの子たちで女ばかり。彼氏なし。貯金もあまりなし。三十半ばの年齢、結婚の予定も全然なし。一人暮らし。

「すーちゃん」では、まだ店長になる前のすーちゃんと、お友達のまいちゃんの話がメインになっています。

ノートタイム

すーちゃんは職場のメンバーとはあまり仲良くならないようにしています。

女ばかりの小さな職場。みんな新しい話題を探してる
のらりくらりとすりぬけるのがうまくやるコツ
職場で心を開く必要なんてない
本当のあたしなど職場にはいらない
これはいい人の考え方ではないの?

すーちゃんはそう思いながらもバイトの子には公平だし、注意するところはきちんと相手の性格に合わせて注意をしてあげて、フォローも忘れない優しい先輩でもあります。ただし内心では「アンタ辞めてもいいんだよ」と思いつつ、グッと堪えて「これも仕事だ」として優しくしています。

すーちゃんの勤めるカフェの店長は他のお店との掛け持ちであまりこっちには来れないから、実質責任者は正社員であるすーちゃんと同僚の「岩井さん」になっています。岩井さんとは特別親しくはしてないけどそれなりに仲良く仕事をしています。

すーちゃんは時々来る本社の「中田マネージャー」にほのかに想いを寄せています。

しかしなんと、岩井さんが中田マネージャーと結婚して仕事を辞めると言い、大ショックを受けます。あの2人いつのまに!!??

中田マネージャーと結婚する岩井さんがムカつく
ムカつくムカつく
うまいことやってるよな岩井さんって
仕事も目立つとこひょいって持っていくこと多いし
さりげなく面倒な仕事から逃げるし

仲良くやってたはずの岩井さんをここまで呪う?自分にうんざりしながら、「そんなあたしもあたし」と、「わーん」と泣いたあとすーちゃんは立ち直り、前から打診されていたカフェの店長になること決めます。

「岩井さんが辞めなかったら岩井さんが店長だったんですか?」と聞くことも忘れなかったけど。そうではなく自分の仕事ぶりが認められていたことに満足します。

さて

「すーちゃん」に出てくるもう一人は「まいちゃん」、すーちゃんの学生時代からのお友達です。彼氏はいますが相手は結婚しています。すーちゃんと同じ34歳、頭が良くて美人。会社でも営業でバリバリ忙しく働いています。上司から「君はまだ結婚しないの?」なんてイヤミを受けてもさらりと受け流すことだってできます。

この会社辞めたらもう新しいとこ探すの大変な年齢だし
がんばるしかない
それに歳をとったと言っても
24歳のブスより34歳の美人のほうが
女のランキングは上なんだから

ふと思った自分の心に、最低だあたし…昔はこんなじゃなかった。と、泣きたくなるくらい毎日疲れて頑張っています。

すーちゃんとまいちゃんは家が近いので、時々帰りが一緒になるとご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったりしています。三十路半ばで結婚の予定なし、仕事は忙しい、自分が「オバサン」になっていく自覚、若い後輩との付き合い方、セクハラおやじのやり過ごし方、などなど、共通の悩みや愚痴を言い合って笑って解消できるいい友だち同士です。

仲はいいのに、すーちゃんはまいちゃんの恋愛事情については詳しく聞こうとしません(不倫をしてるらしいということは知っている)。そして自分のマネージャーへの恋心のこともまいちゃんには話しません。

女友だち同士で恋バナほとんどなしの関係というのも珍しい?ような・・・と思いつつ。

そんなわけで物語の最後、すーちゃんは失恋するけどまいちゃんには話しません。一人で部屋で泣きます。まいちゃんも聞きません。

そしてまいちゃんは彼氏と別れました。その後結婚相談所でお見合いをし、あっという間に結婚が決まってしまいました。春からは引っ越してもうご近所さんではなくなってしまいます。

離れたってこれからもまいちゃんはすっとあたしの親友
なんて思わない
まいちゃんは親友なんかじゃなく友達

親友という言葉で友達をしばってはいけないんだ
ただ流れのままにつきあってゆくのがいい
それでいいと思う

こういうのを
「あたしらしさっていうのかもね~」

ガーデン

このすーちゃんのモノローグがすごい好き。

女の子ってよく「親友」って言葉を使う。でも私は「親友」って使わない。ある時期から自分は使わないようにしている。

なのでこのすーちゃんのモノローグを読んだ時、

そうそう、そうなのーー!!よくぞ言った!!

とね、叫びたくなったよ。

「親友」と呼べる友だちがいない・・・と、まあそういうことでもいい。でもね友だちを「親友」と「友だち」に分けたくない。すーちゃんの言うように「ただ流れのままにつきあってゆくのがいい」

距離があったって、何年も会ってなくったって、「友だち」はずっと「友だち」だと思う。

一時疎遠になったっていいじゃん。人生の中での「共感」のタイミングは合う時と合わなくなる時とあるんだから。縁があればまた一周回って仲良くなる時もくるよ。って思うようにしている。実際そういうものだとも思う。

「一時とても共感しあって仲の良い時期があった」という思い出だって素晴らしいものではないだろうか。それって別にずっと続くものでなくてはならなくてもいいのでは?

なんてね。

ま、それも「あたしらしい」っていうか~~(・∀・)ノ

向田邦子さんの作品にも、こういう女友だちスタイルって多い気がする。踏み込まない、本当のことは口にしない、白黒つけない、みたいな。こういう優しさ(ある意味冷たさ)、年をとるとけっこう心地よくありがたいなって思ったり。

そんなわけですーちゃんシリーズ、このあともすーちゃんと「女友だち」とのお話は続きます。共感してくれた人にはオススメです♪

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