すっかり暖かくなって一気に桜が咲いてしまいました♪今週末、お天気が良ければ満開の見ごろになりそうですね~。でもどこも混むだろうな~。JRの「そうだ京都に行こう」のCMを見てると、桜の頃の京都の美しさを観にいきたくなるのですが、実際は人、人、人、だろうなぁ。ああ誰もいない京都に行きたいものだ。
さてさて、先日「国王を虜にした女たち―フランス宮廷大奥史」という本を読みました。
裏表紙にある解説がすごい。「愛を失えば命が危ない!!」
昔々、フランスの宮廷にあった「公式愛妾」というポジションに君臨した女たちの記録であります。
まず、なんで「公式愛妾」というのができたのかというと・・・国王というのはまず政略結婚をしなくてはならない。そして正式な妻から生まれた子供でなくては世継ぎには出来ない。でも愛情のない妻との生活はツマラナイ、政略結婚は王の義務として政務としてこなすけど、王だって恋がしたい!!・・・そんなわけで「恋人」が出来る・・・でもこの愛する「恋人」を日陰の身分にしておくのは可哀想だ。・・・という経緯で生まれたのが「公式愛妾」なのです。
うーん、さすが愛の国フランス。
登場人物はまず、15世紀、ジャンヌ・ダルクの活躍で即位した、シャルル7世の恋人で、フランス宮廷初の公式愛妾となったアニエス・ソレル
アンリ2世を虜にした19歳年上の美貌の未亡人、ディアンヌ・ド・ポワチェ
太陽王・ルイ14世の寵愛を守る為に黒ミサまでやったモンテスパン夫人
ロココの女王として愛妾引退後も君臨したポンパドゥール夫人
マリー・アントワネットの最初の敵?元娼婦からの大出世デュ・バリー夫人
「公式愛妾」、この王にとって大変都合のいい制度によって、王妃は「国のための伴侶」、愛妾は「自分のための伴侶」となったのです。「国のための伴侶」である王妃は、実家のバックアップもあるし、産んだ子供は文句なく王太子です。国母としての地位もとりあえずは安泰。
でも「愛妾」の方は王の愛だけが頼り。王妃も凌ぐ権力を持ちながらも、愛を失ったときは文字通り命を失うのであります。
愛を失って死ぬ・・・うーんさすが愛の国フランス。
とはいえ、ざっと読んでいくと、「愛のない」王妃との間に生まれた子供が次の王になる中で、どの王子も「愛情不足」な家庭環境に育っています。で、強度のマザコンになったり、女好きでだらしなくなったり、愛妾のいいなりになったり・・・挙句にまた同じように「愛情不足」な家庭を作っていくことの連鎖・・・。
愛妾たちも毒殺されたり、黒ミサに通ったり、怪しいことをしてしまった人もいれば、ポンパドゥール夫人のように愛情を失ったあとでも、知恵と才覚で「王の友人」となり、みずからセレクトした少女達を使って王専用のハーレムを作ってしまうというすごい策略家も・・・。
王より19歳も年上のディアンヌは生涯王を虜にしていたけど、その影でずっとないがしろにされて嫉妬に苦しんでいた王妃のカトリーヌは、王の死後、徹底的にディアンヌをいじめ抜き、追い出し嫌がらせをし続けた上、さらに摂政として政治の表舞台に立ち、宗教戦争からサン・バルテミノの大虐殺にも係わったとか・・・コワイ人になってしまった。
デュ・バリー夫人は、「ベルサイユのばら」ではルイ15世の死と共にベルサイユを追い出されてその後出番はなかったけど、実際は修道院に入れられてから後に出され、明るくて気のいい彼女はあちこちでけっこう人気者だったそうです。
とはいえ革命が進みイギリスに逃げた後、自分の財産が気になってフランスに戻ったところを革命政府に捕まってしまい逮捕され、断頭台に送られてしまったそうですが。
と、なんだかどの王もどの愛妾もどの王妃もあんまり幸せな一生を送った人がいないような・・・やはり一夫一妻の結婚制度っていうのは長い長い歴史の中で、人間が学習してきた一番いい制度なんだろうなぁ・・・と思ったりもして。
でも王家に生まれた人間は自分のための結婚なんてできないし、それも可哀想だけど。最近の例だとイギリス皇太子とダイアナ妃とカミラ夫人になるのかなぁ。
とはいえ王の愛だけを頼りに、自分の魅力を磨き、寵を競い、策略をめぐらし、美を求め、暗殺や謀略の影におびえながらも、王にいつまでも愛され尊敬される女(←大事なのは可愛がられる女、ではなくて尊敬される女であることです)であるために、常に輝こうとする「愛妾」たちは全て並々ならぬ努力の人であるし、一国の王を魅了するだけの美貌だけではなく知性と明るさを感じますね。
ヨーロッパの王室では庶子は絶対に世継ぎにはできないという約束があるから、女たちが「私がお世継ぎを産むのよ!」とか「わが子こそお世継ぎに!」みたいな余計な?母性が入らない分、女の戦いとしていつまでも華やかなのがいい(いいのか?)なぁと思ったのでした。
お世継ぎといえばお隣のイギリスでは、王妃にお世継ぎが生まれないばかりに5回も離婚を繰り返し6人と結婚したヘンリー8世という王様がおります。
このひとの話の本も読んだので、また今度。