藤村靖之とたのしごトーク【後編】知る・繋がる・自分で作るを取り戻す。 | Rucca*Lusikka

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さて、前回の記事 藤村靖之とたのしごトーク【前編】知る・繋がる・自分で作るを取り戻す。の続きです。

競争社会の行き詰まりとグローバル化、エコロジーの話、などなどから、これからの時代をより良く生きていくための「しあわせ」とはどういうことだろう?との「問い」が生まれました。

月3万円ビジネスとは「奪い合わずわかちあう」が基本理念のビジネスです。「良いこと」しかしない、大きく儲けようとしない、専業しない「複業」する、そしてひとつが「2日以内」でできるビジネス。

本当にそれでやっていけるのか?そんな仕事があるのだろうか?

月3万円ビジネスに必要な「大事な3つ」とは?

韓国で行われたワークショップで月3万円ビジネスの説明をしたあと、「ではみなさん、月に何個くらいこのビジネスをしたいですか?」と聞いたら、

「10個!」「20個!」と声が上がったそうです。

10個やれば月30万円の収入、20個やれば60万円の収入です。そりゃ多ければ多いほどいいに決まってる!

藤村先生は「僕だったら3つ出来ればいい」といいました。

ひとつに2日かかるんだから、10個やったら20日かかる。それじゃ今の会社勤めの週休2日と変わらない。20個やったら休みがなくなる(笑)

3個で9万円でいい。そうすれば週休6日です。そしたらその6日でこんなことができますと。

  • 自分で食べる物を作れるようになる(食費がかからなくなる)
  • 住む家を作れるようになる(家のローンがかからなくなる)
  • 自分が使うエネルギーを作れるようになる(光熱費がかからなくなる)

仲間とともにこれらを楽しみながらやればいい、と。そうすれば「現金」は9万円あれば充分、貯金だってできると。な、なんかすごい「発想の転換」です。

「大きくならない」という考え方はこういうことなのか。「右肩上がりの経済成長と幸福のカタチは終わった」というのは、聞いて納得できても、こう具体的になるとやはり少しドキッとします。

田んぼ

とはいえ、都市部に住んでいて普通に会社勤めをしていた人間が、いきなり会社を辞めて地方に引っ越して畑をしながら月3万円ビジネスをします!と言っても、それはちょっと泳げない人がいきなり海に飛び込むみたいなもの。

いきなりやっても上手くは行きません。なぜなら競争社会の価値観にマインドセットされた人には、月3万円ビジネスをするのに大事なものが「3つ」とも足りないからです。その3つは何かというと、

  • 仲間がいない(仲間と友だちは違う)
  • テーマがない(困っている人や事例をしらない)
  • スキルがない(仲間がいないから教えてもらえない)

韓国でのワークショップで、ある大学生から「僕にも3万円ビジネスできますか?」と質問があり、その学生を見て先生は「君には無理だ、君には大事なものが3つともない」と答えたのだそうです。

それは「この子はきっと月10日しか勉強しないであと20日は遊んでいるだろう=単位を取るための勉強しかしていない」と見抜いたからとのこと(わかるものなんですね・・・)

そういう「要領よく勝とう」という子には大事な3つがない、と。その3つを育てるにはどうしたら良いのですか?という質問には、

まず月に5回、社会運動のお手伝いをしてみる、そこで仲間が生まれる、困っている人を見つけられる、その人のために何かをしようとすれば、仲間が足りないスキルを教えてくれる。

との答えでした。この大学生へのアドバイスは彼にだけでなく、多くの人にも(私にも)参考にできると思います。

 

それぞれの月3万円ビジネス

さて、今回のイベントでは参加者全員にポストイットが配られ、それぞれに「良いこと」「楽しいこと」「誰のためのどんな仕事」というテーマで記入し、前のボードに貼る、というワークショップがありました。

ワークショップ

良いと思うこと、自分が楽しいこと、そして誰かのために・・・それが「たのしごと」

よいことには「子供の笑顔」とか「美味しい物を食べる」「みんなを健康に」「美しい自然、生態系」など。

たのしいことには「何かを作っている」「仲間と酒を飲む」「音楽を聴く」「夢中になる」など。

そして「誰かのためのどんなしごと」には、まだ抽象的なことからとても具体的なことまでいろいろなアイデアが貼られました。

その後希望者で「ひと言」理由を発表する時間がありましたが、発表された方はやはり社会に対する、家族に対する、「問題意識」を強く持っている方たちでした。内容も具体的です。

鬱の方でも働きやすい(突発で休んでも代わりに出勤しあえる)人材派遣のようなシステムを作りたい。などや、街の治安を良くするための運動(挨拶やゴミ拾いなど行動がポイントになり商店街で買い物ができる?)、などなど。

ユニークなのでは「外国人に教えるおにぎり教室」「自転車通勤コンサルタント」「洞窟・廃村に宿泊」など・・・おもしろそうなのもいっぱい!

こう見ていくとやはりどれも、「仲間」と「テーマ」と「スキル」が必要だということがわかりますね。

今回のイベントは、主催の株式会社budoriの代表取締役社長の有村正一さん(藤村先生の起業塾での生徒さんだったそうです)と藤村先生との対談形式で行なわれていました。有村さんも様々な会社で働き起業し、いま会社を経営されているという視点から、参加者へ「起業家」としてのアドバイスを下さいました。

毎年たくさんのひとが起業しているけど、10年後に会社が残っているのはほんの僅か。なぜ続かないのか?の原因のひとつに「根がない」ことがいえるそうです。

「根がない」とは、会社を継続させる「理由」とか「問題意識」とか「テーマ」みたいなものかな?…揺るがないコレがないと「稼がなくちゃ」という課題ばかりに振り回されてしまうとのこと。

そして、「利己的」な会社ほどなくなり、残っているのは「利他的」な会社であると。

藤村先生からのアドバイスは、たくさんあったので私がいちばん感銘したものをひとつ。

たとえばお年寄りにパソコンの悩み相談という3万円ビジネス。今はメーカーが価格を安くするために、購買者へのアフターフォローは高額になっている。そこでメーカーに頼めなくて困っているお年寄りの家に行き、パソコンを見てあげて安い価格でメンテナンスしてあげる。

これだけでは「さびしい」と。

メーカーは高い、私なら安い、「安い」から選ばれるのはさびしい。安売り合戦に挑んではいけない。

月3万円ビジネスでやるのなら、そのお年寄りの後ろにも目を届けて欲しい。パソコンをするお年寄りの背景には「孤独」があるのではないか。失われた人間関係を取り戻すために、その困っているお年寄り同士を結びつけることはできないか?という視点を持ってほしい。

「間違ったビジネス」になってはいけないと。「テーマを持つ」はこういうことなんだと思います。

知る・繋がる・自分で作るを取り戻す

競争社会から共生社会へ、旧文明から新文明へ。いまはその大きな転換期で、2つの価値観が混在しています。

文明が発展している時、効率を求めて仕事は分業化され専業化されていきますが、収縮期になるとその「専業以外」のことが出来ないことで追い詰められる人が増えていきます。

旧文明を守ろうとする人たちはすでに既得権益を持っているからです。なので既得権益を持たない人がこれからしあわせになる方法は、持ってる人の真似をしないことです。

競争社会とはアングロサクソン文明です。それは非論理、分断、依存で成り立っています。「知らしむべからず寄らしむべし」という言葉がありますが、これは「為政者は人民を施政に従わせればよいのであり、その道理を人民にわからせる必要はない。」という意味です。

  • 「知らせない」
  • 「分断させる(仲間を作らせない、競争させる)」
  • 「依存させる(消費せずには生活が成り立たたなくさせる)」

でも私たちはもう、誰もがそうして従っていれば守ってもらえることを信じていない。

  • 「知ること(考える時間)」
  • 「繋がること(仲間を作ること)」
  • 「自分で作ること(衣食住を作るスキル)」

まずはこれらを取り戻していこう。

新旧文明のパラダイムシフトである今、ではどうしたらすみやかにその移行が個人で行えるか?

藤村先生いわく、2年あれば仲間ができる、そして5年あれば自給力も身につけられる、と。

橋

その5年で、「こちら」と「あちら」を行来しながら、上手に橋をかけていきましょうと。

たとえば、会社に勤めながら準備をしつつ、リストラされるより先に早期退職希望を出す、みたいな(実際先生の主催する地方で仕事をつくる塾で、そうした方がいらしたそうです)

そして都市に住んでいるとやはり自給度は上げにくい。田舎に移る必要も出てくるかもしれない。しかし田舎はイヤだ。不便だ。おしゃれじゃない、文化がない、つらい労働なんていやだ、ケチケチしてみすぼらしい暮らしもいやだ。

なので田舎をステキにする必要がある!

先生のつくる那須の「非電化テーマパーク」にある、電気をつかわないけど冬暖かく夏は涼しいニワトリ小屋は、「自分が住みたい」という人が出るほど☆ステキの極み☆なんだそうです。

私たちはどんなによいものと言われても「ステキに見えない」ものには惹かれない。文化は大切である。ここはデザイナーの役割ですと。

3331アーツ千代田

上の写真は会場になった、3331アーツ千代田という千代田区にある廃校をリノベーションした建物です。なんてことないありふれた校舎がステキなイベント会場になっていました。芝生が敷かれ、おしゃれなカフェもあります。

田舎をどんどんステキにするためのデザイナーの役割!

建築だけじゃない、イベントのフライヤーでも、商品のパッケージでも、webサイトでも。あ、なんか今日はこれからもっとやりたいことへの道をもらった気もします。

そんな実りある1日でした。

4時間のイベントだったこともありレポートも前後編で長くなってしまいましたが、以上です。

さーて、私も橋を架けながらがんばっていこう!

カキモリノート

今回頂いたカキモリさんのノート。めちゃくちゃかわいい!中の紙は中越パルプさんというメーカーさんの「竹紙」で、里山管理で伐採された竹から作られているそうです。クラフト紙のような色合いで書き味もとてもいいです。

こういう「おまけグッズ」(←って言っていいのか?てくらいステキ)がまた☆ステキの極み☆ていうのもまたステキの極み×2ですね?!

今回のイベント、本当に参加できて良かったです。ありがとうございました。

参考リンク

参考図書

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