梅雨が明けましたね・・・そして毎日いきなり猛暑・・・あ〜今年もこの暑さが9月いっぱいまで続いちゃうのかしらん。
最近はあちこちいろいろ忙しく、なかなかブログの更新ができてません・・・いろいろ書きたいことは多かれど、ちと調べようと思うとなかなか調べきれずまとめきれず、まぁいっか、混乱は混乱のままでも・・・。
そんなわけで、かなり私の主観・間違った情報・誤解や混乱をふんだんに含みつつ、父入院からその後について、自分的整理と、これから老いてゆく親を抱える人に少しでも今、高齢者と医療の現状がどうなってるかを知っていただけたら、、と思って書こうかと思います。
父は3月に入院しました。その経過についてはこのブログのカテゴリーのなかの「介護・病院」をご覧いただければ、と思います。
正確な病名は未だにハッキリしないのですが、今現在は要介護度5、寝たきり、もう食事はできないので経管栄養、無言無動の意識不明状態です。
最初の病院に3ヶ月半入院したのち、先々週、別の病院に転院しました。
今は急性期を過ぎた高齢者は病院に3ヶ月以上入院できないのです。ご存知ですか?
その原因は、3ヶ月を過ぎると病院に支払われる入院医療報酬が極端に減ることになる制度にあるのです。これは、「高齢者の長期入院」をさせている医療機関へのペナルティを意図しているそうです。
つまり3ヶ月以上高齢者を入院(一部例外もあります)させていると、病院は経営が成り立たなくなる制度なのです。今、もうそうなっているのです。
たとえば何かの発作で救急車で病院に運ばれる、治療を受ける、とりあえずヤマは越す、・・・その後順調に回復、退院、となればいいのですが、例えば体に麻痺が残る、リハビリが必要になる、の場合、または、身体が不自由になって寝たきりになる、意識障害が残る、といった後遺症で、自宅に戻るのが困難になる場合もあるんです。
その場合、「病気」の「治療」はもう済んでいるということで、「療養病棟」、または介護保険が適用される「介護病棟」に行く事になります。でもそこも3ヶ月しかいられないんです。
乱暴な表現をしますが、なぜなら勝手に「3ヶ月で良くなる」ことを建前にされてるからです。
「3ヶ月で良くなる」か、「3ヶ月で死ぬ」かしないと、病院にも患者にもペナルティが行く制度って受け止めちゃってもいいんじゃないか?
って・・・思ってしまう。
父の場合、最初に入院した病院は3ヶ月経ったらすぐ個室になりました。(それまでも重症患者用のナースステーション直結の個室でしたが、ここは個室料金はなかった)
個室には個室料金がかかります。3ヶ月以上経った患者は病院にとっては大赤字なので割高の個室に入ることは多いみたいです。
この病院は内科は一般病棟しかないので、病状の落ち着いた父は(良くなったという意味ではなく、これ以上は治療の術がないという意味で)療養病棟のある病院の方がいいだろうという事で、入院1カ月目あたりからケースワーカーさんと相談しあちこち探していました。
でもどこも、断られたり、いっぱいで17人待ちとかそんな感じで、3ヶ月を過ぎちゃってたのです。
で、やっと次の受け入れ先が決まって、今父はそちらに転院したのです。さて、また3ヵ月後を見据えて探さなくてはいけません。入院初日からもう、今から次も探してくださいと看護師さんに言われちゃいましたよ。。。
父の場合、ご飯を食べることができないので鼻から管を入れて栄養を摂っています。これは痰がたまりやすく呼吸に影響が出るので、日に何度か痰の吸引をしなくてはいけません。
父が介護施設や介護病棟に行けないのは、この「痰の吸引」が頻繁に必要だからです。痰の吸引は医療行為だから、病院じゃないとだめなんだそうです。(※注:2012年現在は介護病棟でもできるようになったと聞いています)
でも例えば、病院が満室でどこにも入院できなくて、今いる病院は3ヶ月経ってしまって出て行かなくてはならなくなった時、またはお金がなくて入院させられなくて自宅に引き取る場合、看護師さんから指導を受けて、家族が痰の吸引をすることはアリなんだそうです。
「医療行為だから」と介護施設では断られるのに、自宅で家族(素人)ならOKって・・・なんかヘンなの。。。
父の場合、痰の吸引は30分おきくらいに必要で、しかも24時間・・・自宅にいたら介護する人があっという間に壊れちゃいます・・・。
父は今の病院に入院後、肺炎になってしまい今は療養病棟から一般病棟に移って治療を受けています。なので3ヵ月後の事はとりあえずまた療養病棟に戻ってから・・・ということで今は考えないようにしていますが。。。
父の病気後、母がすっかり参っちゃってるので(波がありますが)、とにかくあまりややこしいことは考えさせられないので、私がこうしてできるだけ事務的に感情的にならないようにしてます・・・。
いろいろ病院を当たっていった中で、3ヶ月といわず終身、安心していてもいいという病院もあったのですよ。そこも申し込みました。ただし入院費用は2倍以上です。今回は実家に近い今の病院が先に空いたので見送りましたが。
その「ずっといていい」病院の患者さんはほとんどが8、90代の認知症の方でした。
病院を見学しながらつくづく父はまだまだ若いのだと思いました。74歳なのでまだ後期高齢者でもないんです。今年のお正月には元気でごきげんだったのに。
話がそれてしまいましたが・・・。
そんなわけで・・・今の高齢者医療の現状って、医療施設も介護施設も「いずれ良くなって自宅に戻る人」は3ヶ月で良くならなくてはいけないし、
重症で治る見込みがない人は・・・
「3ヶ月以内に死ぬのがベスト」
って病院も家族も思わざるを得ないシステムになっているんですよ。
カタチをそうしていく事によって、医療者も家族も、『考え方』を動かさざるをえなくなってしまう。。その向こうに見えるものが怖いのです。
父の入院から4ヶ月、病院の医師や看護師さんたちと係わって来ながら思ったことは、看護師さんたちは・・・もちろんそれが仕事ですが・・・本当に良く父を看護してくれていたし、落ち込みがちな母を励ましてくれたりと、今まで悪い印象はほとんどないんです。
医療に携わる人ていうのは基本的にきっとみんな「病気で苦しんでいる人を救いたい、助けたい、力になりたい」という使命感をもって志して、働いているんだと思うのです。
でも「医療費3000億円削減」という目標を元に、厚生労働省が机上で考えたこのシステム・・・なんかね、そういう使命感の強い人はかえっていられないような制度になってしまってるんじゃないかな。って思うんですよね。
これからますます高齢者は増えていくのに、病院の療養ベッドは削減されていくんです(介護ベッドに移行されていく)。介護ベッドでは父の場合は入院できません。重症の治る見込みのない高齢者はこれからどこに行けばいいんだろう?
さらに今年の10月からは、例外だった、脳卒中後遺症と認知症の後期高齢者も3ヶ月しか病院に入院出来なくなるのです。
詳しくはこちらのHPに書かれています。
10月から脳卒中後遺症・認知症の後期高齢者は一般病院に3ヶ月以上入院できなくなります
その中の気になった箇所を引用させて頂きます。
『脳卒中の方たちの急性期治療後の転院先の回復期リハビリ病棟にも成功報酬的な縛りが出てきました。
回復期リハビリ病棟退院時の在宅への復帰率が60%以上ない場合には、診療報酬が減点される仕組みが盛り込まれたため、回復期リハビリ病棟でも最初から重度の意識障害や麻痺があり在宅に復帰が難しいと思われる患者さんや、身元引き受けのない患者さんは、急性期病院からの転院制限をし始めています。これまた仕方ないこととはいえ、医療費削減だけで作られる国の仕組みはどうしようもありません。
それに輪をかけて、急性期病棟の受け皿となっていた医療・介護療養病床の大幅な削減計画が進行しており、自民党内で見直しの議論が始まってはいますが、国は何を考えているのか、厚生官僚の「医療費削減のための机上の空論」につきあうにはもう限界だと感じています。官僚はミスすれば、他の部署に配置転換されたりしてほとぼりが冷めればまた復帰していますが、いったん崩壊した地域医療は簡単には復活できません。』
あらかじめ長期入院が予測される重症の高齢者は、もう入院さえもさせてもらえなくなるってことですよね。
長くなりましたが、もうちょっと続いて書きます。今日はここまで。。。
2012年6月追記
先日、NHKのニュース番組で、このような状況で退院を余儀なくされた天涯孤独の男性の特集をしていました。自宅に戻された男性は、明らかに急激に痩せ容態が悪化し亡くなられました。家族でも難しいのに、通いの介護スタッフやケアマネージャーでは重症患者の自宅介護はどう考えても無茶です。
介護スタッフは今後、孤独な患者の看取りや葬儀までしなくてはならなくなるでしょう。
明らかに仕事の責任の範疇を超えています。そこまで丸投げしていいのですか?
この日記は4年前でまだ移行期の混乱があったため、今は少しは改善されているのか?と思っていたけど…改善なんてされてないですね。。。
独居老人がますます増えていく今後、がん患者のホスピスのように、病院を追い出された重症の末期患者の【看取りの家】的なものが必要ではないでしょうか?
こんな丸投げ状態では介護スタッフの心身の負担がとても心配です。