前回のブログ(ノマドと弱者と共生社会について考えてみる。)を、作家・ジャーナリストの佐々木俊尚さんがTwitterで紹介して下さり、本当に驚いてしまうくらいたくさんの方から記事にアクセスをいただきました。ありがとうございます。
社会と個人のビジネス的つながり方が変わっていく時代。だからこれまでの『弱者」が実は最強になっていく可能性もある。たいへん良記事。/ノマドと弱者と共生社会について考えてみる。 | ルッカ*ルシカ ブログ j.mp/yOir0P
? 佐々木俊尚さん (@sasakitoshinao) 2月 24, 2012
Twitterで、記事を読んでくださった方のつぶやきを拝見し、また他の場所でもこの「新しい働き方」についての意見をいろいろ読ませていただきました。中でも、佐々木俊尚さんのFacebookウォール上で取り交わされている意見は、とても勉強になりました。
その中で、
「現在の社会では包摂されない弱者であっても、ノマド的なスタイルを選択することによってより良い社会とのつながりを持てる可能性もある。」(佐々木さん)
との書き込みがありました。この「より良い社会とのつながりを持てる可能性」について、もちろん難しいかもしれないけれど、とても希望的に感じていることがあります。
私が紹介したAさんの事例は、「高年齢」と「フリーでシフトに入れない」という、(私が当時勤めていた会社の採用基準としては)2大アウトな条件を持つAさんが、ピンポイント要員として複数のショップで働くことによって、「自分主体」の働き方を実現していた、これは今でいうノマド的ではないか?ということでした。(いわゆるハイパーノマド?やフリーランスとは全然違いますけど)
多分、Aさんの働き方は、就業規則とか税金とか、そういう問題からいうとけっこうグレーだったのかもしれません。ただその百貨店は、老舗&地域密着型ゆえにあまり人事異動がなく、課長部長の判断でいろいろなんとかなってるという土壌があって、その辺は「コネ」にちかいような「古い体質」です。
その佐々木さんのFacebookでのウォールのなかで、Aさんの働き方をこのように捉え発言された方がいらっしゃいました。
「「ハイレベルな結果を出すがプロセスが異端な人」はいかがでしょう。」
「例えばAさんの事例は、自社だけでなく対象会社を広げ、かつ厳しい状況の売り場だけをピンポイントにしたテコ入れ人としてノマド化すれば、正しく市場に評価されますが、現在は非標準的な勤務体系を望むというだけで著しく企業内評価を低くされ、それにより自己評価も低くなり、潜在的市場価値と企業内価値の乖離に気づいていない。」
Aさんの働き方が実現できたのは、百貨店が「就業規則的にグレー」な部分をうやむやにしていた?ということもあると思います。Aさんのプロセスは確かに異端です。
そしてAさんの自由で異端な働き方は、「Aさんを評価する人がいる中」でしか通用しないのではないでしょうか。
しかしその「Aさんを評価する人」が、今までは「Aさんをリアルに知ってる人(コネ)」に限られていたけど、(ちょっと一足飛びな気もしますが)SNSによって「Aさんを知らない人」にも広がっていけるのではないか??
自分ができること、やりたいこと、やってきたこと、自分がどんな人の役に立ちたいと思っているか、自分ならなにを与えられるか、これらをきちんと明確にしプロフィールを整えておくこと。そしてSNSやブログでの日頃の発言、行動の記録。
それがAさんの持ってた「コネ」レベルまでいかなくても、昔の社会で言うところの「○○先生からの紹介状」レベルくらいの「信用」にはならないものかと。
去年の12月、岡田斗司夫さんの「いい人戦略セミナー」というのを聴きに行ったのですが、これがとてもおもしろくいろいろ目から鱗が落ちる内容でした。
●その時の私の講義メモはこちら
●いい人戦略について詳しく語られた岡田氏のインタビュー記事のノーカット版
●セミナーの動画はこちら(2時間丸々ありますよw)
この中で雇う側、雇われる側、双方の「評価」が載る求人情報サイトの話が特におもしろいなって思いました。
たとえばもしAさんがこの求人情報サイトに登録したら、雇う側からの高評価のレビューがいくつも載るだろう。それを見た他の会社が、Aさんの悪条件は承知でAさんにオファーするかもしれない。(映画やレストランだけでなく、「人」もこんなふうにガラス張りにレビューされる時代が、もうそこまで・・・来てる?)
それが「普通に」なれば、Aさんの働き方は特に異端ではなくなる。「異端じゃない」働き方でしか企業内で働くことはできなかった時代が変われば、従来の弱者と言われる人たちでも、自分主体で働けるチャンスが増えてくるかもしれない。
いやむしろ、「ガラス張りレビュー」によって、今まで縦1本しかなかったラインが、何本も、横にも斜めにも無数に広がって、「点同士のビジネス的出会い」がもっとできるかもしれない。(共生社会へのネットワークに?)
まだまだ「現実味」のない考え、甘い考え、と思う人が多いと思います。私もちょっとそう思います。私は未来予想なことが言えるほど世の中のことはわかっちゃいませんし、勉強も足りていません。が、そういう(よくも悪くも新しい)働き方が可能な世の中が来るという予感は、いまある「閉塞感あふれる空気」を打破していけるのではないでしょうか?そういう希望的観測ができなくもないのです。
なので今はまだどんな変化がいつ来るかはわからないけど、会社にいても、フリーでいても、「自分」というプロフィールをしっかり作っておき、信用を蓄積する行動をカタチに残していくことは、育児、介護、病気など背負うものがあって自由になれない人(異端といわれる働き方しか選択できない人)にとって、またはこれからそういう立場になってしまった時の為の、ひとつのセーフティネットになるのではないかなと思うのです。
あ、SNSだけにいえることではありませんね。むしろリアルとしても普通のことですし。いやもうリアルとSNSにそんなに差はないのでしょう。
今後これから「デジタルネイティブ世代」や「ソーシャルメディアネイティブ世代」が社会に上がってきたら、世の中もっと変わるんでしょうね。怖くもおもしろい時代になるのではないでしょうか??
参考図書