去年の末より、ちょうど2年縛りが終わったiPhoneをやめまして、今はSIMフリーのiPad mini4とガラケーを使っています。
iPad miniにしたいちばんの大きな目的は電子書籍を読むためです。iPhoneではやはり画面が小さすぎて読みにくい。本はやはり紙の本が一番だと思っていますが、もうこれ以上家の本棚は増やせない。
なのでこれから購入する本はできるだけ電子にしようと思いiPad miniにしました。
となると機能がかぶるので、iPhoneは解約し電話は通話のみにしてガラケーに戻しました。おかげで大きな画面で読書を楽しめて、通信料金も大手キャリアでiPhone使っていたときより半額以下になり大変快適です。唯一の問題はしょっちゅうガラケーを持ち忘れることですが(笑)
さて、電子書籍を読むのに一番使っているアプリはkindleですが、この8月より月額定額課金のKindle Unlimitedというサービスが始まり、
なんと1か月定額980円で読み放題!最初の30日間は無料!
というので早速登録してみました。
どんな本が対象に?
まず想定はしていましたが、人気作家の小説やマンガ、大手出版社の新刊はほとんど除外になっています。でも少し古いものやマイナーなタイトル、ビジネス書などはけっこう対象になっていて、さらには参考書や雑誌も読めるのがすごい!(雑誌を読むことが多い場合はiPadのほうがいいのかも)
ただダウンロードできるのは10冊までで、11冊目をダウンロードしたかったらどれか1冊を削除しないとダメです。ずっと手元に置いておきたい本は買って下さいってことですね。
気軽にダウンロード出来て気軽に読み捨てられる…本好きには少し悲しいところもありますが、逆にうれしいこともあります。それは
「買って手元に置きたい本、応援したい作家さんの本」に「財」を集中できる、ということ。
昔読んだけど内容が思い出せないもの、読みたいけど古いから本屋さんにはもうなくて、でもわざわざ探して買うほどでは…というもの、友だちに借りて途中まで読んでたけどそれっきりなもの、そんな「微妙な距離にいる」本たちへのアプローチハードルがぐっと下がったんです!
さてそこで、私がやってみたのが
「続きが気になりつつも忘れていたマンガ探し!」
あるでしょ?定食屋さんのレジ横や歯医者さんの待合に置いてあったマンガとかでw
そしたらけっこうヒットして、ずっと結末が気になっていたマンガを最後まで読めてスッキリ満足できました。さらに「おすすめ」に載ったものから普段あまり読まないジャンルの雑誌やマンガをダウンロードしてみたりとか。
さて、今回はそんなアプローチハードルが低くなった、さわりだけ読んで「続きが気になりつつも忘れていたマンガ」の中から、最後まで無料で読めておもしろかったタイトルを紹介したいと思います。
※2016年8月現在の情報です。無料本のタイトルは今後変更されることもあると思います。
無料で読める「完結してるマンガ」おすすめ
かしましハウス 秋月りす著 全8巻
「OL進化論」で有名な秋月りすさんの4コマまんが。やもめの父と4姉妹の日常を描いたほのぼの系で、なんの毒もなく気楽に気軽に読めます。
しっかり者で料理上手で姉妹の母的役割だけど、行き過ぎたおとめチック趣味が妹たちに迷惑がられている(?)、少女小説家の長女・ひとみさんと、力仕事が得意で大食漢、本当はお前長男なんじゃないか?というくらい体育会系のOL・次女ふたばちゃん。
いつも寝てばかりいてものぐさ&虚弱なわりに要領がよくじつは一番たくましく世渡りできそうな三女の女子大生・みづえちゃんと、そして小学生だけど一番しっかり者で姉たちを冷静に観察する四女・よもぎちゃん。
このなかよし4人姉妹の個性の描き分けが素晴らしく、ほのぼのとした日常が秋月りすワールド全開ですごく楽しい。しかしこの姉妹、仲が良すぎておそらく誰も嫁に行かない気がするw
一気読みしてしまいました^^全8巻なので全部をずっと端末に入れておけないけど、最終巻はしばらく取っておこうかと思ってます。
あすなろ坂 里中 満智子著 全5巻
これは昔途中まで読んでいたマンガ。何十年ぶりかでやっと最後まで読めた!幕末から昭和までの激動の時代を生きた、会津出身のある一族のファミリーヒストリー。
こちらも里中満智子先生ワールド全開で、「女は愛のために死に、男は恥のために死ぬ」という美学が貫かれていて、美しいんだけど登場人物がみな愛=自己犠牲の思いが強くて、どいつもこいつも「愛」にこだわりすぎる!(※個人の感想です)
里中先生、真面目系クズ男に甘いなぁ(※個人の感想ですとも!)
この物語で一番おもしろかったのは、4世代に渡る、愛に一途で自己犠牲心の強い者同士が繰り返す大河メロドラマにお腹いっぱいになりかけた頃、異端少女「さくら」が現れるところ。
そもそも「さくら」はこの一族とは全く無関係な生まれなんだけど、満州で亡き娘の遺児を探す祖父母に見つけられて、一緒に育った「みどり」とともに孫娘として引き取られる(さくらは実子、みどりは養子として。しかし本当はみどりの方が探していた孫娘だったのだ!)
昭和の少女マンガの定番として、みどりは健気で思慮深い優しいヒロインで、さくらはちょっと意地悪で見栄っ張りな子として描かれていて、なにかと出来がいいみどりと比べられるのがシャクで「あたしのおかげであなたも一緒に引き取ってもらえたのよ」と恩着せがましい。
高潔な会津武士の魂を持ちながらも男があまり頼りにならないこの一族の中で、さくらの自己顕示欲と、上品とはいえない幸福追求力と、都合の悪いことは全て忘れている「鈍感力」は明らかに異端。
しかし太平洋戦争末期、暗くなりがちな世相の中で子どもをたくさん産み育て、庭に畑を作り、にぎやかに笑うさくらは一族にひとつの「明るさ」をもたらす存在になっていた。
誰もがうすうす「本当の娘はみどり」とわかっていながら、今さらそんなことをいっても誰の幸せにもならないと沈黙を貫く、この一族の人たちの優しく寛容な「おとなヂカラ」と、さくらの「鈍感力」、この組み合わせの描き方が素晴らしくハマっていて、最後まで楽しく読めました。
クレオパトラ氷の微笑 森園 みるく 著, 村崎 百郎 原作 全5巻
(あまり必要じゃないと思うんだけど)エロ多めなので注意です。でも話はかなり荒唐無稽でありながら骨太でおもしろかった。
日本最大の財閥の美しき若き令嬢・大道寺圭子が、姉弟間の後継者争いを勝ち抜き、父より叩きこまれた帝王学と類まれなカリスマによって、一族の総帥、そして日本の「女王(クレオパトラ?)」になろうとしていく物語。
この「圭子さま」の圧倒的な強さと美しさ、そして冷酷さと慈愛、まさに女王のスケール。
政治経済の中心にいる魑魅魍魎なオヤジたちと渡り合いながら同じ次元に落ちない高潔さ。
やつらは一貫して敵対するものが女だと、「生意気な女は犯してしまえばすぐにおとなしくなるさ」という、低俗極まる低能マインドで足を引っ張ってくる。しかし圭子さまの魂は最初から「絶対に何者にも犯されない女」というステージに居るのだ。
「絶対に犯されない女」というと、吉田秋生の吉祥天女の「小夜子」を思い出す。自分を食わせながら最後には相手をすべて食い殺す魔性の女。
小夜子には「普通の少女に生まれつかなかった哀しみ」があったけど、圭子さまは「生まれながらのカリスマ」ですからそんなものはありません。
とにかく前半は圭子さまの無双っぷりが痛快です。後半はちょっとグダってきましたがそれでも充分に楽しめました!
愚者の皮 草野 誼 著 全2巻
広告バナーのリンクで最初の方だけを読み、続きが気になっていたマンガ。
姿も心も天女のように美しい「あよ」と、貧しいホームレスに自分の着ているコートをあげてしまうような心の優しさと、美しい自分と美しいあよしか愛せない冷淡さを併せ持つ「英馬」。夫婦は幸せに暮らしていたけれど、ある日あよは交通事故にあい顔を損ねてしまう。
それはただ「前より少し美しくなくなった」あよであったけど、あよの完璧な美しさを愛していた英馬にとっては辛く、あよは英馬のためにも早く顔を元に戻してあげたいと無茶な整形をし、けっきょく化物のような顔になってしまう。
あよのあまりの醜さに嘔吐し逃げる英馬、顔が変わっただけで同情すらえられずここまで嫌われることに傷つくあよ。
あよは英馬への復讐のために逃げる英馬をとことん追い詰めていくが、英馬を深く愛していたので、英馬はほんとうは「醜くなった妻を愛せない自分自身」に傷ついてることに思い至り、英馬への執着を手放していく。
英馬も、あよから逃げつつも、英馬への執着を手放したあよの気高い姿に心を動かされていく。
という物語。2人のそれぞれの美しさに隠されていた本性がむき出しにされ、己の中の知らなかった醜さが炙りだされ、驚き、逃げまくり、結局は正面から愛でその苦しみに立ち向かい昇華させていく変化の描き方が素晴らしかった。
大家さん引退します。主婦がアパート3棟+家2戸、12年めの決断! 東條さち子 著 全1巻
最後に、あらゆる意味で衝撃的?だった本…。主婦&漫画家の方のコミックエッセイで、アパートオーナーになりそれをやめるまでのお話。前作でオーナーになるまでが描かれていて(こちらは読み放題対象外)これはその続編でした。
なにに驚いたかというと、赤裸々に描かれたこのご夫婦の金銭感覚に!
不動産オーナーになって家賃という不労所得で老後を安心に~という財テクは、ある程度財産がすでにある人がやることだと思っていました。このご夫婦はそういう土壌がないところからアパート経営を初めて、その金策力、行動力はただただすごいのですが、そ、そ、そんなにいわゆる「自転車操業」でいいの??って。
なんでダンナさんいま無職なのに、税金も滞納してるのに、ゲームセンターにある巨大なゲーム機を購入しちゃうの?そしてそれが家にはいらないからって(なんで買う前にサイズ確かめないの?)、なんでそこで新しい中古の一戸建てを買おうって発想になるの?
さらに残ってるローンを計算して、350万円までと決めてたのに、なんで結局600万を超える物件にしようとしちゃうの?
決めた理由が、この物件を購入すれば車も置けるから月7千円の駐車場台が浮くって…そこって子どもの学費をひとまず当ててもいいと思えるくらいの重要ポイントなの??
なんというかツッコミどころというよりも、そのぶっ飛んだ金銭感覚にただただ衝撃というか。世の中にはこういうハイリスク・ハイリターンなお金の使い方ができる人というのがいるもんなんだと・・・・ああ 小せえなぁ私w
とにかく衝撃度はナンバーワンな本でした。しかもこの金策の中でこの方は世界一周旅行もしているのだ。その本も読み放題になってたので読んだけど、やはりツッコミどころがいっぱいで、ただその行動力はとても素晴らしく・・・。
しかしこんなに無謀(と思える)金策をしつつも、こうしてマンガネタとして昇華もさせてるところがすごい人なことは間違いないなぁと。
反面教師という意味ではなく、この「思いついたことはすぐに実行しなくては気が済まない」行動力に、ふしぎな勇気?みたいなのをもらえました。いや驚いたけど。真似できないけど!
そんなわけで、ふしぎな勇気と感動を味わいたい人は一読お勧めいたします(保証はしませんが)
気軽にいろいろ読めるメリット・デメリット
以上、これまでで読んだ中でおもしろかったタイトルご紹介しました。
この「読み放題」のサービス、ふとあいた時間にこういうライトなものが読めるのは嬉しいし、前に書いたようにこれから買う本はさらに「好き」に集中できる。
反面、結局「時間」をそんなに好きではないものに消費してしまうだけじゃないのか?という危惧もちょっとあったりします。
今はお試し30日間中なのでいろいろ読んでいるけれど、おもしろくなかったものもけっこうあるし、なによりも「読みたい本を読めてるか?」というと・・・謎。読みたい本はほとんど対象外だしね。
でもここでご紹介した本はおもしろかったし、読めてよかったと思えましたよん^^
紹介リンク
あとがき
すご~く好きな本の紹介は気合が入りすぎて書くハードルを自分で勝手に上げてしまいがちだけど、こういうサラッと読んでおもしろかったよ~的な紹介は書きやすいし自分もけっこう楽しいな^^