外を歩いていたら梅の香が漂ってきました。もうすぐ春ですねぇ(*^_^*)
さてさて、先日観た映画のレビューなど書いてみようかと思います。最近映画や小説など立て続けに見ているので、レビュー書くのがなかなかおっつきませんが…。
長い散歩
06年
監督: 奥田瑛二
脚本: 桃山さくら/山室有紀子
撮影: 石井浩一
主題歌: UA
出演: 緒形拳 高岡早紀 杉浦花菜 松田翔太 奥田瑛二
ほとんど予備知識がなく友達に誘われて行きました。場所は渋谷のQ AXというミニシアター。でも椅子もゆったりしてて見やすかったです。
あらすじはというと、
厳格で家庭を全く顧みなかった元校長の松太郎(緒形拳)が、妻の死後、娘と断絶し家を出て古いアパートで1人暮らしをはじめる。
そのアパートの隣に住んでいたのは、水商売風な女(高岡早紀)とヒモの男、そしてこの母親から虐待されている5歳の少女。
ある日、虐待された少女を助けた松太郎は、そのまま少女を連れて『青い空を見に行こう』と旅に出てしまう。
感想をひと言でいうと・・・緒形拳すごい!!ですねぇ。
もちろんこの子役の少女も上手かったのですが、いや〜緒形拳すごいです。さすがです。ていうか緒形拳じゃなかったらキツイです。
家族を自ら失った老人と、親から愛されない子供と、旅先で出会う行き場のない青年とのロードムービーなんだけど、家族の断絶や子供の虐待などいろいろ今日的なテーマが盛り込まれています。
映像も綺麗だし、ハッとするような印象的なシーンもいくつかありました。そして老人と子供ときたら泣かせモードいっぱいじゃないですか。私も映画見ながら涙が止まりませんでした。
でもですね。
なんとなく・・・薄いんですよ。なんかなー。たとえば何故母親は少女を虐待してしまうのか。『親からされたことをしているだけだ』と高岡早紀は言うんだけど、なんだか新聞の記事によくある理由をしゃべってるだけな感じがする(高岡早紀は上手かったんですよ)
主人公は家庭を顧みない厳しいだけの父だった。壊れたまま死んだ妻と自分を決して許さない娘。これも・・・薄い。。。緒形拳がそんな父親だったって言う風に見えないし(緒形拳もすごく上手かったんですよ)、それに対する許されたい気持ちから少女を救いたくなった?っていうのも解るけど、やはり新聞記事みたいだ。
で、緒形拳は少女と共に旅に出てしまう。。。おじいちゃん、それ誘拐ですよ??大人としてどうなんですか??
旅先で不思議な若者に会う。彼はアフリカからの帰国子女で、貧困やエイズで人がどんどん死んでいくアフリカと、平和で能天気な日本とのギャップに適応できず心を病んでいる。彼のとった一連の行動の理由としては、もっともなんだけど、なんか・・・薄い。よくある?感じがしてしまう。
新聞に載ってる事件の動機の見出しだけで、すべての行動の理由を作ってしまった、といった感じがどうしてもしてしまったのでした。
でも号泣・・・(つД`)
うう〜〜んん、やっぱり緒形拳ですよ。緒形拳が上手すぎる。渋すぎる。背中で語りすぎる。魅力ありすぎる。少女役の杉浦花菜ちゃんも上手かったけど、緒形拳の力ってすごすぎるわ。緒形拳なくしてこの映画は成り立たないでしょう、っていう感じでした。
奥田監督自ら演じる刑事が『みんな行き詰ってるんだよ』っていうセリフもなんか・・・ああ、監督自ら説明しちゃったよ・・・みたいな気がしてしまいました。。。
最後、UAの歌う井上陽水の『傘がない』がかかるのですが、この曲のセレクトもなんか安直というか薄い感じがしてしまって…。(いえ、この曲は名曲なんですよ)
でも号泣・・・(つД`)
会場見渡してもすすり泣くお客さんが多かったです。一緒に行った友達も号泣。なんだかんだ言いつつもいろいろ考えさせる映画でした…でもやっぱりせめて後味のよいラストなら良かったんだけどなぁ…。
緒形拳おそるべし。あとはね、少女の背中の羽がね、哀しくてちょっと印象的でした。