「月3万円ビジネス」~競争社会から共生の社会へ | Rucca*Lusikka

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先日、アースカラービジネススクールさん主催のセミナーに行って来ました。

科学技術(テクノロジー)に対するスタンスと分かち合うビジネスへの挑戦

講師:非電化工房代表/日本大学教授 藤村靖之

藤村靖之さんは「月3万円ビジネス」の著者であり、非電化工房という、電気を使わない製品の発明を行う工房の代表者でもいらっしゃいます。

すごくあたたかい雰囲気の方で、理系で発明家というと固いイメージ(もしくは不思議な靴でピョンピョン飛ぶ…)がしてたのですがそんなことは全然なく、柔らかい語り口で「共生社会」についてわかりやすく語ってくれました。

まず始めに、参加者は20名弱ぐらいだったのですが、お互いに自己紹介・・・はしないというのです。

なぜかというと、私たちは「競争社会」の価値観の中に生まれ生きている。競争社会の価値観で自己紹介をすると、

「私は○○会社に勤めてて」とか

「○○の仕事をしていて」などの、「肩書き」が最初の情報として入ってしまう。これから「分かち合うビジネス」「共生社会」を学ぶのにその情報は不必要だから、なのです。

で、

自己紹介の代わりになにをやったかというと、

スネークダンス!?

という、北米インディアンの仲間になるor仲良くなる儀式?みたいなことをやりました(笑)全員で手をつなぎ輪になり、右回りにゆっくり回りながらリーダーが片手を離したところから、離された人を中心にしてぐるぐると中へとぐろを巻いていくのです。そしてぎゅうぎゅうになって真ん中の人が「ぎゃー!」といえばとぐろをほどいて元の輪に。

これをやるとですね、「あっという間に」仲良くなれるんだそうです。

初対面の大人同士が手をつなぎ、なにやら蛇のまねごとのような、フォークダンスのようなことをする・・・これは照れがあります。

が!

この「照れ」はなぜなのか、ここに私たちの「征服型競争社会」と北米インディアンの「共生社会」の価値観の大きな違いの秘密が隠されている、その理由が講義の話から明かされました。

※この講義はTwitterで実況されていました。そのまとめ記事はこちらです。合わせて読んでいただけるとより内容と場の雰囲気が伝わりやすくなるかと思います♪

北米インディアンの共生社会とは

Monumental Moon

北米インディアンには「成人の儀式」というのがあって、男子はある年になると、武器も食べ物ももたず恐ろしい獣がいる山の中へ一人で行き「グレートスピリット(天の声)」が聞こえてくるまで、何日も何日もじっと座ってなくてはならないのだそうです。

これは東洋的な「座禅」でもなく西洋的な「瞑想」でもない。

最初はじっと、あたりの動物の声を聞き、虫の声を聞き、木々のざわめきを聞き、そして(聞こえるはずのない)土の声、石の声、が聞こえてきて、最後に

「お前は○○の役割を果たせ」

という「天の声」が聞こえるのだそうです。

これはある意味、空腹と恐怖から来る幻覚・幻聴なのかもしれない。そして、そういう「ぎりぎりの状態」の時に聞こえてくる「自分の内なる声」は、「清らかな声」か「淫らな声」のどちらかになるのだそうです。

北米インディアンの人すべてが「清らかな声」の方を聞くのは、この「聞く順番」に大きな意味があるのです。

征服型文明に生きる人は、人間の下に動物、植物、石や土と考える。そして一番上だと不安だから人間の上に「神」を作る。

北米インディアンは真逆で、「人間」の上に動物、植物、石や土、そして「天」を置く。

つまり、人間を一番下に置いて、順番に声を聞いていくから最後に清らかな「天」の声が聞こえてくるんだそうです。

北米インディアンの人々は鳥や動物の真似をして踊る。それは「天」に近づく行為なんだそうです。一方、私たちが鳥のものまねをして踊るのは恥ずかしい。それは鳥を自分より下に見ているから、なんだそうです。

そんなわけで、私たちが共生社会の民族から学ぶことはとても大きい。共生社会は資本主義でもなく、共産主義、社会主義でもない。

共生社会は仲間とともに生きる社会。人と人、人と自然との合意を大事とする。他人の犠牲を代償として初めて自分の仕合わせがあるという社会ではなく、自分の仕合わせの追求、満たされた人生への努力が他人の仕合わせ、社会の豊かさにつながる社会のこと。

さて、北米インディアンの価値観、共生社会とは?が大体理解できた所で、話は本題に入って行きます。

グローバリズムと共生社会

”これからのいわゆる「世直し」は大きな社会革命ではなく、小さなコミュニティの出現から始まっていく。そのひとつひとつがネットワーク化しつながっていき、それが社会の変容へと動いていく。

今の技術というのは企業の利益のために使われている。そういったものが抑制されて、「適切な技術」が指向されるだろう。分業ではなく、融合した関係性が生まれる。

顔の見える関係性の中の方が、質の高いサービス・モノが安定供給されるから。共有は進み、テクノロジーは適度に抑制され、地域で自給自足するようになる。”

共生社会は、ローカルに仕事と雇用を生み人が集まってくる社会。

藤村先生は、とある地方自治体より「いろいろうまくいかない、何か助言してほしい」と言われそこへ行ったそうです。その地方自治体では、原発事故のあと「これからは自然エネルギーだ!」と、太陽エネルギー発電に力を入れていました。

先生は唖然とし、

・・・今、地方からお金と仕事と人がどんどん流出してしまっているのは、グローバリズムが入ってきたからにほかならない。太陽光発電なんて一番競争にさらされやすい。中国に勝てるのか?

「なんでここで太陽光発電なの?それで本当にお金と人が戻ってくるの?山ほどある再生エネルギーのなかで、なぜこの自治体で太陽光発電なのかちゃんと説明できる人はいますか?」

と、問いかけました。・・・答えられる人は誰もいなかったそうです。原発もうダメ→ならば時代は太陽光だ!という短絡な選択。

たとえばまずその土地にたくさんある森林、それを若者に伐採してもらい、板金屋にウッドボイラーを作らせる、それを各家庭に普及させる。そうすれば若者に雇用が生まれ、板金屋に仕事ができ、家庭は灯油代、電気代が節約され、さらにエコ。

それこそ、その土地に見合ったローカルならではの雇用と仕事が生まれる施策ではないか。なのになぜ太陽光?

ここを変えていくには、まずは「教育」を変えていくしか無い。

スウェーデンの教育環境は素晴らしい。教師は絶対に生徒に、「正しいこと」と「知識」を教えないのだそうです。教師が教えるのは「情報」のみ。正しいと思うものは生徒に決めさせる。そのために必要な知識は生徒自身に選ばせて学ばせる。(日本の教育は正解を当てさせることに終始している)

「探究心」を鍛える。どうしたら世の中が平和に、人々が幸せになれるのか?を考えさせる。

でも日本でも無認可でそういう教育をする小さな学校ができている。「自分で考える子供」が育ち増えれば世の中は変わっていくであろうと。

ほんとうの人間にとっての「しあわせ」と「豊かさ」

藤村先生は、目標を立てるのが大嫌い、計画立てるのが大嫌い、約束するのが大嫌い、なんだそうです(笑)そんなもんをなくせば頭と心と時間が自由になる!と。

アフリカの人たちもそういう気質を持っていて、どんなに貧しくてもどこか楽天的で陽気で明るい。ところが、2000年頃からアフリカの人々が変わり始めたそうです。

ます「自分の国は貧しくて不幸だ」というようになった。豊かになれば幸せになれる、なので目標を立てて計画的に働かなくては!・・・そして表情はどんどん暗くなる。。。

その裏には中国人ビジネスマンがアフリカの人たちをより働かせるために煽ってる姿があるそうです。

先生は中国人に「あなたの中で、アフリカの人たちの幸せを思う気持ちと、あなた自身の欲望との割合は何%づつくらいですか?」と聞いたら、中国人は

「私の欲望が100%に決まってます」と答えたそうです。

先生はそういうはっきりという中国人気質は大好きだと。(日本人なら本音と建前を使い分ける)しかしその考え方は断じて嫌いだと。

私はその話を聞いて、以前読んだ

「モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語」

という児童文学を思い出しました。灰色の男(時間泥棒)たちに煽られ、豊かに幸せになるために、大切な時間をどんどん奪われていく町の人達。

その時のブログはこちら。

時間泥棒とは① 時間泥棒とは② 時間泥棒とは③

時間はほとんど「灰色の男たち」よって奪われてしまい、町の人達の生活は忙しくなるだけで豊かにはならない。笑顔がなくなっただけ・・・。これが本当に豊かさにつながっていくのか?しあわせにつながっていくのか?

  • 来日してさわやかな風を巻き起こしていったブータン国王夫妻、そのブータンの国策「国民総幸福度」の話。
  • 映画「ラダック/懐かしい未来」の話・・・巨大隣国からのグローバリズムの流入でGNPが一気に上がった小国。しかし10年前とどちらが幸せだったか?と国民投票の結果、住民の総意で暮らしを「元に戻してしまった」という実際にあった話。

ほんとうのしあわせは、競争社会では得られないのではないか?今、時代は、長く言えばアングロサクソン文明社会、短く言えば産業革命以降の社会、更に短く言えば高度経済成長の社会、これらの行き詰まり=終焉を迎えているのではないか。

そこで今、グローバリズムに晒され、中国に抜かれ、アップアップ状態の日本経済を救う命綱は、

地方に仕事を生むこと、これは決定打になる、と。

今、仕事が無いのは、地方と、若者、そして一回キャリアをストップさせてしまった人(特に女性)、病気や障害があってフルで働けない人、だと私は考えています。これからの時代、これらの人がますます縮小していく競争社会に出て勝つことは困難です。そしてそれがしあわせにつながっていくのだろうか??

そうは思えない。

だから小さいビジネスを考える。奪い合わない、分け合う。

小さければ小さいほどいい。小さいことは抵抗が小さく、犠牲が少ない。楽しく実現できます。いいことを楽しく実現できれば、それは必ず大きく広がっていきます。

月3万円ビジネスについて

「月3万円ビジネス」のまえがきにはこう書かれています。

”グローバリズムの未来に明るい絵を描くのは、もはや脂ぎったオジサンだけでしょう。

多くの人が真の豊かさを求めて、ローカル化を指向し始めました。やがては経済が地域で持続的に循環する社会に移ることでしょう。

地方に仕事が溢れる時代になるでしょう。しかし、今しばらくは過渡期です。

地方には仕事が不足しています。希望を抱いて地方に移住した若者が、仕事を得られずに都会に舞い戻るという残念な現実が、今この国には確実にあります。

都会に戻っても、膨大な支出のために、時には身も心もすり減らして働かなくてはなりません。

いいことで愉しく稼ぐには、知恵と仲間がきっと必要なのでしょう。そのためのヒントを提供するのが、この本を書いた目的です。”

グローバリズムがこれから日本にもたらすのは、より大きな敗北とそこから生まれる小さなコミュニティ同士のつながりかもしれない。そのひとつひとつが「共生」というキーワードでつながっている。

先生がある場所で、この「月3万円ビジネス」の話をした時に、聞いていたおじさんが大変怒ったそうです。

おじさん曰く、「仕事というものは汗水流し、コツコツとまじめに取り組み、嫌な事でも我慢をし、理不尽に思っても頭を下げて、一生懸命に命がけでやるものだ(大意)」と。

競争社会で生きてきて勝ってきた人には、どうしてもこういう考えが伝わらない。きっと、ぬるく甘く見えてしまうのだろう。

”今まで積み上げてきた地位、能力を否定するわけではない。

現実、地方の若者に仕事がないのだから、それに取り組んでいるだけ。

でも怒る人がいるというのは、自分のやり方や無意識な後ろめたさを否定的に刺激されたかのように感じてしまうからなんだろう。”

先生の地元、那須では、エコビレッジやエコミュージアムといった活動があるそうですが、そういうイベントの実行委員会はすべて若者と女性にしてるそうです。おっさん禁止(笑)

私も昔小売業で働いてきて、いまはすっかりその頃の毒は抜けたけど、戦って勝ってなんぼ、みたいな考え方があった。当時の私がこの本に出会ったら絶対に共感出来なかった自信があります(^_^;)

でも勝ってた自分はあまり幸せじゃなかった。すごくがんばってて、がんばったことに後悔はないけど。

そんな一回リタイヤした人がまた同じ土俵に戻るよりは、なにか別なことで新しいなにかを作れないか?そう考えるのは自然なことで、そういう仲間はこれから増えていくと思う。そしてそれが世の中にちょっと役に立つようなことで実現できたらどんなにか楽しいだろう?

月3万円ビジネスのお約束は、

  • 1.いいことしかしない。
  • 2.2日以内でできるビジネス。
  • 3.月3万円を×5種類。
  • 4.初期投資(借金)をしない
  • 5.固定費をかけない
  • 6.奪い合わず、分かち合う。

たとえば、月3万以上儲かってしまったら、友だちを誘って分け合うんだそうです。友だちも自分の3万円ビジネスが3万円以上儲かったら別の人と一緒にやって分け合う。それをどんどん増やしていく。おもしろいね。

シェアといえば、坂本龍一さんの活動で、Copyleftというのがあるそうです。

これは、Copyrightにもじった造語で、クリエイティブコモンズという流儀にのっとった、著作を創作などに役立ててもらうためのもの。Copyrightは「真似しないでね」Copyleftは「真似していいよ」ということ。

”発明も音楽と同じように、激しい権利争いの世界。でも僕は自分の非電化製品には全て「コピーレフト」をつけるようにした。これによってLove&Peaceが発明の世界でひろがればいいと思っている。”

これも共生のモデル、分かち合ってLove&Peace!!

月3万円ビジネスは、会社員の方でも出来ます。副業ならぬ「複業」。これから先、ひとつの仕事だけをし続けるのはリスクではありませんか?(副業禁止の会社もまだまだ多いですが)

なにもその道のプロでなくても、ちょっと得意なことやアイディアを持ち寄って、ちょっとした事を考えられないだろうか?また、著書では主にローカルで出来ることのモデルがいくつか上がってるのですが、首都圏でもできることはないだろうか?

たとえば、ローカルで起こすなにかのサテライトになるとか。

今はそんなことをいろいろ考えています。またブログで書いていきたい。

PhoTones Works #2144

さてそんなわけで、約2時間半の講演が終わりました。いやー・・・中身が濃かった!!

持って行ったノートと、OGAWA Miki(@miki_mo)さんとイケダハヤト(@IHayato)さんがお隣で高速タイピング(すごい)でつぶやきを上げて下さり&まとめて下さったtogatterを見ながら、なんとかおかげでまとめることが出来ました。ありがとうございました。

また、今回の講義を企画、運営なさってるアースカラービジネススクールさん、こちらも「共生」をテーマにした、全く新しいタイプのスクールです。

藤村先生の講演が行われたアースカラービジネススクールは、株式会社アースカラーさんが主催されていました。現在は「地球のしごと大學」を開講して、人と自然が仲良く共生することを目指す「しごと」のための学びや体験の場を創られています。(2013年6月現在)

世の中は気づいた人からどんどん変わっていく。

そんな気がします。だから私も私ができることを考えていこう。

最後に、「月3万円ビジネス」について、私がチェックしたwebサイト、書評などを紹介します。

サイン&メッセージ

 

写真は、購入した著書「テクテクノロジー革命-非電化とスロービジネスが未来を開く」藤村靖之+辻信一 に書いて頂いたサインです。ありがとうございました♪

参考図書

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