横森理香著『恋愛は少女マンガで教わった』を読みました。
じつはこれ最初に読んだのはもうずいぶん前で、今回本棚整理しててなんとなく手にしたんだけど・・・うはは、おもしろかった(ノ∀`)
作者は1963年生まれというので、旬に読んでた漫画はヒト世代違うんだけど、いわゆる70年代少女マンガについて、それらがどのように少女の脳みそを侵食して、腐らしていったのか(^_^;)について?語っています。
デザイナー、アリエスの乙女たち、エースを狙え、生徒諸君!、ポーの一族、ハイカラさんが通る、季林館通り、ベルサイユのばら、ガラスの仮面、綿の国星、日出処の天子、愛のアランフェス、ハイティーンブギ、キャンディキャンディ、いつもポケットにショパン・・・etc
この懐かしい名作の数々・・・・やばい、私もほとんど読んだ事があるし(リアルタイムじゃないのもあるけど)、指摘されてるとおり、かなり脳みそが美味しく腐っていた少女だった自信があります(ノ∀`)
少女マンガの嘘・・・それは!!
●平凡な女の子の『私』が、隠れた才能をステキなコーチに見いだせられて『大抜擢』される♪
●正反対のタイプの2人(以上)の男から愛される♪(どっちを選んでもオトク)
●美人で才能あふれるライバルも最終的には自分の味方♪
●そこそこ世間に認められる仕事(スポーツなり、アイドルなり、デザイナーなり)をこなし、才能を開花させてもやっぱり女の幸せは愛♪
●すったもんだはあったけど、一人の男が勝ち抜いて私をゲット♪ハッピーエンド(*^▽^*)
●なんで私がこんなにモテモテで幸せになるのですかって?それは私が一見平凡だけど実は隠れた才能があって、いつも明るくて前向きでちょっぴりドジでチャーミングだからかな?エヘ☆(‘-^*)/
うはは、書いてて殴りたくなってきたぞう:*:・( ̄∀ ̄)・:*:こんな人生全部ウソじゃ?!
さらにおもしろかったのが往年の少女漫画家の槇村さとるさんの解説でした。タイトルもずばり『少女マンガからのリハビリ』
そんなゆめゆめしい少女マンガを描いていた槇村さんは、はた、と壁にぶつかったそうです。
『わし、ウソ描いてないか?』
つ、つ、都合よすぎ~!横着すぎ~!受身すぎ~!気持ちワル~~~!!
で、槇村さんはその後レディースコミックの場に創作を移し、リアルな恋愛マンガを描き始めたのですが、
ある作品で、主人公が親友の婚約者を好きになってしまい、片思いにピリオドつけるために告白をする・・・という設定で、主人公が失恋する事は最初から決めていたそうなんですが、告白を受けた男のセリフにいきあたって・・・そこで思考が停止してしまったそうです。
どうやってピリオドを打たせるのか??
今までの少女マンガ脳で考えると・・・。
『もう少し早く出逢っていたら・・・』
というセリフが受け入れやすかった・・・しかし、違う!それでは違う!!危ないぞ!よく考えろ!
『うっとりとするような甘い、でも良く考えると、こっちの質問にはちっとも応えないヤツっていい男だろうか?うやむやピンクガスを発射して女を煙に巻くようなヤツって、カッコイイか!?』
結局、男にはこういわせたそうです。
『可能性はゼロだ』
ここで古い王子は死んで、自分は新しいヒーロー像を求めていくと決めたんだそうです(*^_^*)
『可能性はゼロだ』・・・いいセリフだよなぁ??。いわれた人間にひとかけらの希望も持たせない、残酷だけど実はやさしいセリフなのかもしれないね。
少女マンガで美味しく脳みそが腐っていった少女達でも、人生のどこかで『可能性はゼロだ』という言葉や現実にぶち当たって、大人になっていくのでありますよ。
または自力で『可能性はゼロだ』と気づいて、言わない王子様に幻滅・・・っていうのもあるかもね。
でも『もう少し早く出会っていたらよかったのよ』と自分で自己完結してしまい、一生来世を夢見る少女のままでいてしまう人もいるかもしれない・・・(つД`)まあそれはそれで幸せなら良しなんだけど。
先日、本屋さんでレジに並んでいたら、前にいた小学校4年生くらいの女の子が『NANA』の1~3巻を持っていました。
おいおい、小学生がNANAかよ??いいのか??って思ったりもしましたが・・・。けっこう小学生のうちからNANAを読むってのも悪くはないかもしれないなんて、思ってみたりなんかしてみたりというか・・・:*:・( ̄∀ ̄)・:*:←困った時はこの顔文字。
脳みそを甘く腐らせながらもやはり、70~80年少女マンガはキラキラと輝きながら褪せることなくおもしろく、今でも熱く読んでしまえるんですよね。