100年後「平成の文豪」の文学館はなにを展示しているのだろう? | Rucca*Lusikka

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先日、神奈川県内のアート・カルチャーを紹介する「マグカル」というサイトさまの取材案件を頂き、横浜・山手の「神奈川近代文学館」に行ってまいりました。

神奈川近代文学館には、2014年に開催された、特別展「生誕105年 太宰治展 ―語りかける言葉―」を見に行ったことがあります。

太宰治の生涯を追いながら、肉筆の原稿や手紙などが豊富に展示されていてとても見ごたえがありました。

また、ミュージアムショップには【太宰の名言ガチャ】というものがあり、全力で引いてみたらこんなの出ました。

太宰先生、ノート入れてる袋に大切に貼らせていただいてます。

太宰先生、いつも持ち歩いてるノート入れてる袋に大切に貼らせていただいてます。

どうにか、なる。(作品「葉」より)

こ、これはなんとも私にピッタリなお言葉!(ひそかに恥の多い生涯を送ってきました。を狙ってたんだけどw)

マジメな展覧会でありながら、ちょっとこんなユーモアのあるグッズも置いてあってなかなか楽しかったです。

人気コミックとのコラボで文学を身近にという取組み

10月、横浜では人気コミック文豪ストレイドッグスのスタンプラリーが開催されていて(31日まで)、横浜の観光名所8ヶ所がラリーポイントになっています。港の見える丘公園の一画にある神奈川近代文学館もそのひとつに。

前にその太宰治展に行ったとき、「文スト」のコミックがロビーに置かれていたので1巻を読んだことがあり、今回取材もあったのでアニメも見てみました。

太宰治とか芥川龍之介とか、実在した文豪の名前と同名のキャラクターたちが、それぞれの著作にちなんだ「異能」を使って戦うというバトルアクションマンガです。

文豪ストレイドッグス

文豪ストレイドッグス

文豪ストレイドッグスと角川文庫がコラボ!! 描き下ろしイラスト使用の限定グッズが当たる、「文豪を読もう」キャンペーンも実施!|株式会社KADOKAWAのプレスリリース より画像引用

たとえば主人公の「中島敦」君は、教科書にも載っていた「山月記(尊大な羞恥心と臆病な自尊心ゆえに、あさましき人食い虎に成り果ててしまった男の話)」の作者・中島敦なんですが、彼の「異能」はズバリ「虎に変身する」能力だったり、自殺マニアな「太宰治」さんの異能は「人間失格(直接触れたありとあらゆる異能を無効化する)」だったり(笑)

と、まあ、作品の説明はそんなにまだよく読み込んでない「ニワカ」なのでこのくらいにして。

文豪ストレイドッグスは若い世代に人気があるため、日本各地にある「文学館・美術館」や地域とコラボイベントをかなり積極的に行っています。この秋だけでもこんなに企画が!(もっとあるかもだけど抜粋して紹介)

と、あちこちで大人気ですね。

若い世代への文学への興味を持ってもらうアプローチにもなるし、コラボイベントを行えば文学館や記念館への来館促進にもなるし、さらに各地の文豪ゆかりの地の地域活性化にもなってるしで、コミックとしての人気以上の経済効果がある作品です。

おそらく、この作品(アニメも小説も)は、はじめからこういう狙いがあっての企画ものなんだと思う。

 

 

作品のイラストを使ったカバーで、文豪たちの代表作品も再販されています(青空文庫でも読めるけど、ファンにはこのカバーが嬉しいかも)

今回この横浜のスタンプラリーの取材もあって各ポイントを回ったのですが、どこに行っても高校生くらいのグループだったり、小学生の女の子とおばあちゃんだったりと、大勢のファンの方がスタンプに並んでいてこの作品が大人気であることがわかりました。

企画としても作品としても、地域活性化としてもワカモノの活字離れの防止にしても成功してますね〜!

さてしかし、文学の記念館って今後どうなるんだろう?

そんなわけで今回、神奈川近代文学館でお話を伺い、スタンプラリーに参加したことで、最近の文学イベント事情についてちょっと知ることができました。(最後に記事のリンクを貼るので、お読みいただければとても嬉しいです)

近代文学館、普段はやはりシニア層の来館者が多いようですが、館員の方々が日々若い世代にもアピールする企画を考え文学の普及に努めてることを知り、「本好き」な人間として(といっても真の本好きの方々の足元にも及びません)も嬉しかったです。

近代文学館ではいま、秋の特別展として「安岡章太郎展――〈私〉から〈歴史〉へ」が11月27日(日)まで開催中ということで、こちらも拝見してきました。

開催中の安岡章太郎展

開催中の安岡章太郎展

不勉強ですが、私、安岡章太郎さんの作品を読んだことがなく、今回展示を見てはじめてどんな方でどんな作品を書かれていて、というのを知りました。

享年が93歳とご長寿で、さらに戦後から長く文壇で活躍された人なので、肉筆の原稿や手紙やはがき、愛用品、趣味のカメラ、写真などさまざまな展示品が豊富にあります。

もっと昔の戦前の文豪の場合、そういった資料が戦災で失われてることも多いらしい。

安岡氏のご先祖は幕末、土佐で「土佐勤王党」に入り吉田東洋暗殺にも関わっていたとか。坂本龍馬と同じ時代に土佐にいた人なんですね。私は幕末好きなので、それを知って一気に興味がわいてきました。

しかしこうした展示を見ながらふと思ってしまった。

これから50年、100年先、今活躍してる小説家の方々が時代に消えること無く「平成時代の文豪」としてのちの世に残った場合、こういう「作家・◯◯展」には何が展示されるんだろう?

だって、肉筆原稿ってきっともうなくなってますよね??

手紙やはがきも・・・ほとんどなくなってるのでは?年賀状があってもきっと印刷だろうし。

「数々の作品を生み出した愛用のMacBookです。」とパソコンが展示されててもなんか味気ないし。

どうなんでしょう??

未来の文豪さんへの提案?を考えた

疑問に思い、ますは今こういう「文豪」の個人の記念館やミュージアムって、全国にどのくらいあるんだろう?と調べてみました。

その際、こちらのサイトがとても良くまとまっていました。ありがとうございます。

こうしてみるとかなりの数が全国にありますね。ただ作家個人の文学館・記念館だと、やはり近世のもう亡くなっている文豪のものがほとんどでした。

今もご健在&活躍されている方だと(漫画家さん含む)、

瀬戸内寂聴さん、富永一朗さん、西村京太郎さん、永井豪さん、田辺聖子さん、宮本輝さんの記念館・ミュージアムが確認できました(ざっくりと調べただけなので漏れもあるかと思います)

みなさん何十年も第一線で活躍してるレジェンドでありますが、彼らの原稿は肉筆ですよね。

この中だと私は宮本輝さんの「宮本輝ミュージアム」に行ったことがあります。ファンなので^^

宮本輝さんの母校である大阪府茨木市の追手門学院大学の中にあって、肉筆の原稿や万年筆などが展示されていて震えながら拝見しました。だってここは「青が散る」の舞台なんですよ!「青が散る」の舞台となった場所に、「青が散る」の生原稿が展示されているんですよ!!

ファンにとってはもう奇跡みたいな場所です。横浜から茨木まで行く価値は十分あります。聖地ですよ!

しかしもし、宮本輝さんがパソコン世代の作家さんだったら、この生原稿はないんですよね。もちろん万年筆などの筆記用具もない。

今の若い世代の小説家が平成の文豪になって故郷や母校にミュージアムができたとき、なにが展示されるのだろう?

漫画家だったら生原稿があるし…デジタルだったら「生原稿」ではないかもしれないけど、作品を大きくパネルにして展示ができる。ラフスケッチだって豊富にあるだろう。

でも文章だと、フォントになったテキストを拡大パネルで展示してもイマイチ「ありがたみ」がないよね…。「初版本」の現物展示というのもあるけど今後は紙の本だってどうなることか。

データベースとして作品を保存するには、最初からデジタルなら楽なのでいい時代だけど、作家の筆跡での、創作の様子がにじみ出るような生原稿が・・・将来なくなるんですよね…。

近代文学館近くのクリスマスウッズのお店に立ち寄り。かわいい♡

近代文学館近くのクリスマスウッズのお店に立ち寄り。かわいい♡

なので私は考えた!(この先はほとんど冗談というか、ふざけています)

今ご活躍で将来名が残るであろう小説家の方々は、まずは自分のセルフ写真をたくさん残しておこう!自分の人生の年表が作られたときに、年齢ごとの写真があると大変助かりますので!

あとは今から趣味としてInstagramか何かをはじめて、日常での撮影した写真+短文を発表していくというのはどうだろう?これは後々のミュージアムとしてはかなり貴重な展示アイテムになるはず!

愛用の品は、そこそこ良い一点モノを好んで使いましょう。コーヒーカップとか手帳カバーとか、鞄とか眼鏡とか、書斎の机とか。既製品でどこにでもあるものは避けましょう。

仕事のパソコンは名前と座右の銘を刻印するとか、好きなシールたくさん貼るなどしてオンリーワン感を出しましょう(センスが悪いと大無しの可能性も・・・)

だが 断る

ちなみにこちらは夫のiPadの刻印です。

そしてシンボリックなファッションをしましょう。スティーブ・ジョブスとか楳図かずおとかファッションだけでその人とわかるような(センスが悪いと以下略)

できれば書道を学んで達筆になり、色紙とか掛け軸とかを多く残しましょう。最初の太宰の名言バッチみたいな、自分の小説の中の一文を短冊や色紙に残しておきましょう(それって相田みつを的な・・・)遺族もきっと喜びます(オイ

人にプレゼントをあげるときは必ず自分のサイン入りにしましょう。落款とかあるとカッコいい!

さらに、自分が好きな作家の作品、影響を受けた本などは、自炊せず紙の本できちんととっておきましょう。

うーん、そんなかな?(笑)将来の文豪さま、どうかご参考になさってください。

すみません、最後はふざけましたが、文学館のたくさんの展示を見ながらふと将来はどうなるんだろう?と思い考えてみたのでした。

あ、私のノートは死んだら処分してねと遺言しようw

あ、私のノートは死んだら処分してねと遺言しようw

さて。こういう展示品の中で印象的に残るのって、私の場合は「はがき」なんですよね。当時の切手、消印の印刷、中の文章だけでなく、その時代の雰囲気と、万年筆で書かれた柔らかいインクの味わいと、筆跡と。

はがきっていいよね。手紙ほど出すのももらうのも重たくないし。年賀状でさえ最近はほとんど義務感のほうが大きくなってるけど、たとえば旅先からはがきを書いて出すということを、20年くらい前までは自分もけっこうやってた気がする。

文豪たちがやりとりした古いはがきを見ながら、旅先から友だちにはがきを出してみるってちょっとまたやってみたいな、なんて思ったのでした。

 

参考リンク

おすすめ本

人間失格と山月記、汚れつちまつた悲しみに、は10代の頃読みましたね~。

おすすめ本&グッズの一覧

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あとがき

青が散るはテレビドラマでも人気でしたが、そろそろリメイクしてもいいと思いませんか?主演女優&俳優を考えるだけでもワクワクします。夏子はせめて5年前なら長澤まさみさんに演じてほしかったなぁ。

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